
そこには、遠出する理由がありました。
(妻に会いたいですか?)
Aさん(81)
「顔見たいよね。妻がいれば一番いいけど」
遠く離れて暮らす妻に会いに行こうとしたのです。しかし、認知症のため、全く違う方向に行ってしまい、何度も交番へ。
すみれの花 西田和弘 施設長
「高速道路を使って迎えに行き、高速道路で帰るのを2023年の夏の間はずっと」
1日の終わりにビールを飲むのが楽しみなAさん。
「夫に飲ませてほしい」と、Aさんの妻の仕送りで買ったものです。
Aさん(81)
「ビール飲めるのが一番うれしい。よかったな、よかったなって」
すみれの花 西田和弘 施設長
「もう(店に)行かなくていいね」
Aさん(81)
「あーおいしい。おいしいですよ」
Aさんは、この日一番の笑顔で、ビールを味わっていました。
そんなAさんにとって、この施設とは…。
Aさん(81)
「きょうはよかった。ここに来ているときはすごくいい」
(来年の目標は?)
Aさん(81)
「体悪くならないように頑張る。それが一番」
触法者の支援をする「アルワン」 石田幸子社長
「この人を『刑務所に入りなさい』と言って変化があるのか。認知症なのに」

触法者の支援をする「アルワン」 石田幸子社長
「何が何だか分からなくて、(裁判所で)腰縄で出てきて当事者の席に座って、裁判長が(話を)聞いても答えられない。そういう状態で裁判をするのは本当に必要なのか」
Aさんのように法律に触れてしまった人でも「誰でも受け入れる」と話す石田さん。
石田さんたちの活動が、福祉の力で再犯防止につながっていることを証明しています。