静内農業高校での馬の授業は1978年に始まりました。全校生徒141人のうち生産科学科の馬コースは3年生13人、2年生17人が在籍(馬コースに進むのは2年生から)。学年ごとに1頭の馬を生産から育成、競りに出すまで担当します。より良い環境で馬を育成するための知識や技術を身に着け、乗馬の技術も学べるとあって、毎年全国から生徒が集まります。日本中央競馬会(JRA)のレースで3勝のユメロマン、2勝のゴーゴーヒューガもこの学校の生徒が1歳まで育てました。

 1歳4か月となった奏叶の競りを直前に控えた今年8月、授業には緊張感が張り詰めていました。

(小林忍教諭)
「右手の肘だけで動かさないとダメ」
「そのまま立たせることに集中しろ!そうやって足元なんて触るな!」

 競りで高い値段をつけてもらうためには、堂々とふるまう姿を見せることが重要です。しかし…。

(3年生の平野圭祐さん)
「暴走気味になってしまうところを自分たちがどうにかしてなだめようかなと」

 そして迎えた競りの当日。今年は感染予防のための入場制限がなくなり、3年生3人が秦叶と一緒に会場入りできました。高校の敷地の中で育てられてきた奏叶は、238頭のサラブレッドが集まった会場の雰囲気にやや興奮気味。生徒たちは必至で奏叶をなだめます。