写真家・伊藤健次さん
「いまも渡って来たけれど、何でもないでしょ。まったく気にならないで渡れるけれど、これが日高では、雨が降った場合、本当に(水が)一気にあがって、膝より上…腿くらいになると渡るのが厳しくなります」
「ほかの“百名山”は、沢沿いにのぼるところは、ほぼないんですね…ふだん川を渡ったことがない人や、そういう登山をしたことがないと人にとっては、川の力を見るのが難しいんだと思います」
雨が降り続くと増水するため、下山ができなくなったり、遭難したりする登山客が後を絶ちません。
沢や岩場を歩くこと4キロ、中腹にある『幌尻山荘』に到着。管理人はいますが、食事の提供はなく、自炊の道具や食料が必要です。
翌朝、午前4時。雨予報だった空には、青空が広がっていました。針葉樹に覆われた急斜面を登っていきます。
写真家・伊藤健次さん
「これ…面白い木ですよね、歩き出しそうな木ですけれど…。なかが抜けているのは、昔…木が倒れて、そこの上の木の種が乗っかったんですね。どんどん大きくなって、エゾとトドとマツが、この上で成長した跡なんですけれど…」

写真家・伊藤健次さん
「ここは、笹がびっしり生えているので、なかなか倒木の上に乗っからない限り、発芽できないんですね。1本、木が倒れることで、ほかの木が芽を出せるという、それが凄い時間ですよね。見ただけでも面白い感じが…」
自然が織り成す、不思議な風景に出会えるのも、日高山脈の魅力。出発して2時間半、森林限界を超えると…。