『絶対残りたい』という人もいて…怒号も飛び交った

輪島市南志見地区は人口700人あまり。里山が広がり一次産業や観光業に従事する人たちが多い地区です。地区内には孤立した集落があり、現在もとどまっている住民がいます。

このまま地区内で生活を続けていくのは非常に難しい状況となっていることから、1月11日に石川県は金沢市へ被災者のヘリでの移送を開始。

しかし、この移送は前日の10日に急遽決まったとのことで、住民説明会は紛糾したと言います。

(住民)
「『家財と命とどちらが大事なんや』という人もいれば『絶対残りたい』という人もいて、多少怒号も飛び交った」

金沢へ行くことを拒否する住民を説得しに来たという石川県の吉田修議員は、こう話します。

(石川県議会・吉田修議員)
「自分の村を守りたい。家を守りたいという思い。これも田舎の良いところ。しかし、今は有事。集団で避難する」

元々地区の人たちの結びつきが非常に強いコミュミティ。それゆえ移転するにも配慮が必要と強調します。

(吉田議員)
「コミュニティがバラバラになると崩壊する。今後このコミュニティが回復するためには、できるだけ避難先でもコミュニティを崩さず1つで(いるべき)。(避難所に)入らなければ2つ。なんとかまとまっていられるように」

復旧・復興の過程でふるさとを離れることの難しさは、これまで起きた災害でも指摘されました。

コミュニティを崩さずに被災者の命を守る、暮らしを守る。新たな課題が能登の被災地でも立ちはだかっています。