実は“茶道”にも造形が深い? コロナ禍では精神を整える時間も

そして、2大会連続メダルを目指し挑んだ前回の東京オリンピックでは、惜しくも10位でした。今だからこそ言えるこの時のお気持ちはあるんでしょうか?

(カヌー・羽根田卓也選手)
「いろいろあった東京オリンピックですけど、結果がどうのこうのというよりは、とにかく東京オリンピックに向けて本当に大きな応援モードを日本人の方々が作ってくださいましたし、自国開催のオリンピックというのは我々にとって本当に特別なものなので、その中で開催無事することができて、また皆さんの応援を受けながらこの大舞台で力を尽くせたというのは、自分の人生の中で本当に貴重な体験をさせていただきました」

この大会直後のインタビューで、涙を流しながら感想を述べていましたが…

(カヌー・羽根田卓也選手)
「自分の中では悔しいとかそういう感情ではなくって、延期やいろんな声がある中で臨んだ東京オリンピックで、本当に自分の全てを費やしたことに感極まってしまって流れた涙なんですけど…」

あの不完全燃焼がある意味ご自身の中で『よしやってやろう』という思いになったんですか?

(カヌー・羽根田卓也選手)
「実は不完全燃焼ではなくて、東京オリンピックではもう完全燃焼しきったというぐらい思いっきりやったので、次のパリを目指す理由は不完全燃焼ではないんです」

そして、羽根田選手は子供たちの後進の育成にも尽力されています。ご自身の名前を冠にした小中学生対象のカヌー大会や、今年5月には地元豊田市でカヌーの体験イベントも開催されたんですよね。

(カヌー・羽根田卓也選手)
「なかなか身近な場所でカヌーに親しむのは難しいと思っていますし、いろんな方々からそういう声をいただくので、自分が皆さんのきっかけの一つとなってカヌーに親しんでいただいて、東海地方には素晴らしいカヌーを始める、世界を目指す環境がたくさんあるので、これをきっかけに世界を目指す子どもが出てくれば嬉しいですし、それだけではなくてレジャーとしてもカヌー魅力をたくさん伝えれたらよかったなと」

子どもたちには、どんなことを一番伝えたいですか?

(カヌー・羽根田卓也選手)
「まずは外で体を動かすことの気持ちよさやカヌーを通して、競技だけではなくていろんなアクティビティだとかそういったものを通して自分の人生が、これだけ豊かになるんだよということをお話しさせていただきました」

実は、カヌー以外にもいろんなことにチャレンジされている羽根田さんですが、茶道にも造詣が深いんということで、かっこいいですね

(カヌー・羽根田卓也選手)
「造詣が深いわけではなないんです。好きでやっているだけです。きっかけはまさに東京オリンピックが延期になったコロナ禍で自分も何か先がわからない悶々とするムードを感じていたので、ちょっと自分と向き合ったりだとか、競技だとかオリンピックのことから1回離れて、少し精神を整える時間が茶道でできるかなと思って」

パドルに花を植えるなどの取り組みもしているんですよね。

(カヌー・羽根田卓也選手)
「茶道はただ抹茶をたてて飲むだけではなくて、いろんな芸術がそこに詰まった総合芸術というふうに呼ばれていますので、そういったことも親しみながら、カヌー以外の視点も増やすと競技にも生きるんじゃないかなと思って」

来年のパリオリンピックに向けて、改めて意気込みをお願いいたします。

(カヌー・羽根田卓也選手)
「自分にとっては5大会目のオリンピックになるんですけど、やはり5回目という回数は他の選手にはない、すごく大きなアドバンテージになると思うので、皆さんの応援を背負って、期待に応えられるような結果を出したいと思います。頑張ります。」

その結果というのは、どんな結果ですか。

(カヌー・羽根田卓也選手)
「できるだけ高いところですね。オリンピックというのは出て終わりではなくって、皆さんの期待もあると思いますので、自分の全てを出して、一番いい色のという思いでやりたいと思います」