柔軟剤に含まれる大量の”マイクロカプセル”

元は住宅建材に使われる接着剤などが原因として注目された化学物質過敏症ですが、いまは芳香剤や柔軟剤など身近な日用品に含まれる「香料」が原因物質となるケースが増えています。

微細な化学物質について研究する早稲田大学の大河内博教授は、最近柔軟剤で広く使われるようになった「香り成分が長く残る技術」が関係していると考えています。
(早稲田大学 創造理工学部 大河内博教授)
「柔軟剤に一体何が入っているのか、それは企業秘密ですから。色んな香りをつけるというのは企業が色んな調合をしているわけです。症状を訴える方々にとっては極めて不快に感じるものがあるのではないか」
柔軟剤の成分を調べるため洗濯物を部屋干しし、室内を分析したところ、服や床から42万個もの微粒子が検出されたのです。

これはマイクロカプセル。直径わずか6マイクロメートル。プラスチックの膜で香料の成分を包んであり、摩擦などで破れると成分が放出されます。
およそ900種類もの化学物質が入っている柔軟剤。香りが長続きする点が製品の売りですが、逆に化学物質過敏症の人にとっては長い間、原因物質にさらされることになります。

(早稲田大学 創造理工学部 大河内博教授)
「香りを長持ちさせようという技術が化学物質過敏症や香害を引き起こしてしまっている。香りがそこまで必要なのか、というところから議論が必要なんじゃないかなと私自身は思っています」

消費者庁などはことし7月、「その香り 困っている人もいます」と題したポスターを作り、柔軟剤や芳香剤の過剰な利用に注意を促しています。
一方、洗剤メーカーなど業界団体は「安全性は確認されている」とした上で、メーカーが推奨する量を守って適正に使うよう呼びかけています。