日本国内で、在来種の生態系を壊したり、農作物などに被害をもたらしたりする特定外来生物。今、首の周辺が不気味に赤く、体はつやのある黒色をした「クビアカツヤカミキリ」が増え、日本全国で被害が拡大中です。この侵略害虫の実態について調査しました。
海外では辺りの木を焼き払う!?駆除が難しい侵略害虫…

三重県木曽岬町の鍋田川堤防には、およそ4㎞にわたって1000本もの桜が植えられています。春には、“桜色のトンネル”が人気の観光スポットですが、これを脅かしているのが「クビアカツヤカミキリ」です。
東海物産の樹木医・大石浩さんは、今年この堤防沿いで、クビアカツヤカミキリが特に多く見つかっているといいます。
(東海物産 樹木医・大石浩さん)
「(Qいつ捕れたもの?)6月の下旬だったと思う。これだけの数を見たのは初めて」
クビアカツヤカミキリは、中国やベトナムなどが原産で体長4cmほど。樹木に深刻な被害を与える特定外来生物に指定されています。2012年、愛知県で初めて確認され、今では住宅街や観光名所の桜並木にも被害が拡大中。

2023年に入り、関西でも被害は広がっています。大阪狭山市の公園では、丸ごと枯れている桜の木が。木の内部を専門家と見てみると、食い荒らされた跡がありました。
クビアカツヤカミキリのメスは、木の表面に一度に約1000個の卵を産み付けると言われています。孵った幼虫は、樹皮のすぐ下にある水や栄養を運ぶ道管部分を食い荒らし、そこから木が枯れてしまうのです。
(京都府森林技術センター・小林正秀主任研究員)
「ドイツとかは被害が見つかったら、その周辺の元気な木も含めて燃やす。このように広がってしまったら、燃やすというのは難しい」
最悪の場合、木ごと焼き払うしかないというクビアカツヤカミキリ。桜だけでなく、桃や梅の木も好んで卵を産み付けるため、農作物への深刻な被害も警戒する必要があります。