接種回数が違う家族

愛知県美浜町の榊原さん一家は、5人家族。しかし、家族によって新型コロナワクチンの接種回数はバラバラです。
父の充さんは、会社で打てるチャンスがあったため3回接種済み。一方、母・知香さんと高校1年生の長男・英心さん、中学1年生の長女・幸来さんは2回接種、小学4年生の次男・暖さんは接種を受けていません。

(母の知香さん)
「先延ばしてて…。2回目の副反応が強かったので、ちょっと怖くなっちゃって」
(長男の英心さん)
「周りで(ワクチンを)打っていても(コロナに)なっている子がいるので意味がないのかなって感じます。プラスなことがあるのなら打ちたいと思える。100%コロナにかかりません!とか」
長女の幸来さんは周りの友達も3回目を打っていないのでどちらでもいいと考えており、次男の暖くんは怖いからと一度も打っていません。父親の充さんも別に打ちたくないなら打たなくてもいいかなという考えです。いま、積極的に接種を受ける理由が見当たらないというのが家族の本音でした。
街のワクチン接種に対する声

では、街の皆さんは3回目のワクチン接種について今、どう考えているのでしょうか。下は5歳、上は70代まで名古屋市内で男女100人にアンケートを取りました。
(打ちたいと答えた理由)
(10代女性)
「ワクチンを打った証明書があれば、色々なイベントとか参加できる」
(40代女性)
「気持ち的に安心というか、周りに迷惑を掛けたくない」
周囲への配慮や、イベントなどへ参加したい気持ちから打ちたいと考えていました。
(打ちたくないと答えた理由)
(10代女性)
「副反応がすごく怖い。勉強とかできなくなったら困る」
(30代男性)
「(副反応で)すごく熱が出てしんどい思いをした。(感染しても)軽症で済むのでそっちの方が(副反応よりも)症状が楽なのかなって」
打ちたくないという人は、副反応への警戒感が強いことが伺えます。

結果は、「打ちたい」が51人、「打ちたくない」が49人という結果になりました。実際、愛知県の3回目ワクチン接種率は2022年5月16日現在、1回目・2回目は85%前後ですが、3回目は60%に留まっています。
極端な事例のインパクトが判断に影響

名古屋市内に開設されている大規模接種会場も、開設日の2022年4月15日と比べても、今は接種に来た人よりもスタッフの方が多い状態です。
(20代男性)
「誰もいないですね。もっと人がいると思って予約したんですけど。びっくりしてます」
(30代女性)
「思ったより少なくて、閑散としている」
6月に入っても今以上に予約が伸びるとは考えづらいため、日本ガイシフォーラムの接種会場は1か月半以上前倒しで閉めることになりました。3回目で、なぜ接種率は大幅に低下したのでしょうか。社会心理学の専門家に伺いました。

(名古屋大学大学院 石井敬子准教授)
「(接種が)2回目の段階で3回目・4回目・5回目と続くとは思っていなかった。先が見えなくなってしまっているのが大きい」
先の見えない“不安”に加え、ワクチン接種へのネガティブなイメージが大きな影響を与えています。ワクチン接種後に亡くなったり、後遺症が残ったりしたという極端な例は私たちの注意を惹き、インパクトがとても大きく見積もられて判断に影響するのだといいます。