都会の真ん中に位置する保育園がビルに囲まれ、日差しがほとんど無くなっている状態の中で、新たに持ちあがったマンション建設計画に反対の声が上がっています。現場を取材しました。

名古屋市中区、立ち並ぶビルの合間に保育園があります。

(報告:藤井祐輔記者)
「現在、午後0時半過ぎですが、園庭の3分の2程が日影になっています」

名古屋市立中保育園、現在0歳から5歳まで園児102人が通っていますが、冬のこの時期は園庭の多くが日影に覆われていて、子どもたちが遊ぶ遊具の周りにわずかな日なたができるだけ。しかし、この日差しを巡り今、ある問題が持ち上がっています。

(報告:藤井祐輔記者)
「保育園の南側には既にいくつかのマンションが建っていますが、さらに高さ44メートルのマンションの建築が予定されています」

保育園南西の空き地に、15階建て・高さ44.2メートルのマンションの建築が計画されていてそれが建つと遊具の周辺も完全に日影に隠れるというのです。

(名古屋市立中保育園 野田美保園長)
「子どもたちの体の成長にも日差し、太陽の光は必要なものになってくるので…」

今回のマンションの計画そのものは合法ですが、名古屋市の条例では建物の建設で「教育施設に日影が生じる場合」、事業主は特に配慮し施設側と協議する「義務がある」と定めています。

名古屋市の保育運営課と園児の保護者は、開発業者に計画変更などを申し入れましたが、業者側は3回の計画説明会のあと、協議したという報告書を名古屋市に提出しています。あくまで計画通りにマンションを建てるという業者。これに対し、保護者側は。

(園児の保護者)
「協議はおろか、日影への影響に一切配慮がない。事業主の姿勢に対し憤りを感じるし、条例違反ではないのかと思う」

日影対策について「協議」することを、事業主に指導するよう市に求めました。

(園児の保護者)
「子どもへの今後の心身の成長を考えると、お日さまの光は奪われてはならないと思う」

(名古屋市 河村たかし市長)
「(日なたが)全滅するということか。全滅は、ちょっとえらいな…」

(園児の保護者)
「『マンションを建てるな』と言っている訳ではなくて、『協議したい』と言っているにも関わらず、事業主は『一切15階の計画を変えるつもりはない』の一点張りでした」

名古屋市は日影への配慮がなされていないとして、建築業者が提出した報告書の受け取りを保留しています。

しかし、条例には建設差し止めまでの効力はなく、園児の保護者も日差しが失われることへの不安を強めています。