59年連続「花の生産額日本一」の愛知での取り組み
出荷の途中で痛んだりして売れ残り、これまで捨てられてきた花を活用しようと、新しい取り組みが始まりました。
愛知県一の花の生産額を誇る田原市で、年間120万本の菊を生産している渡辺竜次さん(33)。花を栽培するうえで避けられないのが…
(菊農家 渡辺竜次さん)
「厳しい選花基準の中で、短いものや折れたり傷んだりしたものをバケツに入れている。基本的にはロスとして廃棄しているのが現実」
渡辺さんのハウスではこうした、まだきれいなのに規格外という理由で、年間およそ1000本の菊がやむなく捨てられています。
また出荷の過程で劣化したり売れ残ったりして捨てられる花も多く、小売店が仕入れた3割から4割の花が、消費者に届かず捨てられているといいます。
このように捨てられる花、「ロスフラワー」を減らしたいと、同じ東三河で花の生産が盛んな豊川市で新たな取り組みが始まりました。
(merry_go_round 堀祐次郎代表)
「廃棄される花や規格外の花を仏花として供えるお花とする、KYOUKAというプロジェクトを始めた…」
このサービスは農家や小売店から出たロスフラワーを、プロジェクトのメンバーが引き取り、その花を月に1回、利用者のお墓に供えるというもの。
月額3500円で利用でき、オプションでお墓の掃除などもお願いすることができます。
(龍源寺 渡邊信行住職)
「(コロナ禍で)ここ3年は(来る人が)少ないかもしれんね…お花の管理をしてくれる人がいれば遠方の人は助かるんじゃないかな」
プロジェクトを立ち上げたのは、東三河を拠点に金属製品の加工・製造、エンジニア、ドライフラワー専門店と異業種で活躍する3人。その狙いは…
(山本製作所 田中倫子代表取締役)
「(お墓に)花がないという環境もそうですが、お盆などにお墓に行くと(人がいなくて)お墓がさみしい。その感情を何とかしたいというところで、プロフェッショナルな味方が周りにいるので声をかけた」
(merry_go_round 堀祐次郎代表)
「墓じまいや檀家さんが減ったりという課題に対して、廃棄される花と結びつければ花の活用先が増えるのではと思った」
少子高齢化や新型コロナなどの影響で、「お墓参り」の機会が少なくなる中、花が供えられなくなったお墓と、ロスフラワーを結び付けようというのです。
(Drive BEAST 岡田陽代表)
「ロスフラワーに限らず、ごみとして捨てるのではなくて、最後までいろいろな形で使い続けるということはやるべきだという使命感が大きい。サステナブルにできるものを提供していきたい」
年明けには愛知県蒲郡市や豊田市の一部のお寺でも始める予定の、このプロジェクト。
「花の王国あいち」で捨てられる花を少しでも減らしたい…挑戦は、まだ始まったばかりです。