転売や悪用…ヘルプマーク保持者は「許せない」

ヘルプマークを持つ当事者は、転売や悪用についてどう考えているのか?

私は、長時間立つことができない症状「筋痛性脳脊髄炎」と闘う岐阜県在住の塚本明里さんにコンタクトを取った。


(筋痛性脳脊髄炎と闘う塚本さん)
「転売や悪用は許せません。必要ないのにヘルプマークをつけていると疑惑の目を向けられてしまい、私たちへの支援が減るのではないかと心配しています」

塚本さんは9月、ヘルプマークの正しい使い方を広めようと岐阜市民に向けたヘルプマーク研修会を開いた。

研修会ではヘルプマークを持つ人を見かけた時の対応の仕方やヘルプマークを使った悪用の実態について紹介し注意を呼びかけた。

(筋痛性脳脊髄炎と闘う塚本さん)
「優先席に座れるマークだから入手してしまったり、子どもに悪いことをしようとしたり。色々いるけど、結局はモラルの問題なんです」

追跡1か月 ヘルプマークへの「理解」はまだまだ…

悪用や転売の実態を伝えた放送の3日後にまさか、椎名林檎さんのアルバム特典のグッズがヘルプマークに酷似している問題が出てくるとは思ってもいなかった。

こうした問題が出てきてしまう背景にはやはり、ヘルプマークの正しい意味を理解していない人がまだまだいるからだと私は思う。

取材の過程で、名古屋の10代の男女25人にヘルプマークの認知度調査を行った。

話を聞いた25人全員がヘルプマークを「見たことがある」と答えたものの、正しい意味を理解しているのは、6割の15人にとどまった。

今回の問題をきっかけに、行政は動くのだろうか?10月27日、名古屋市の河村たかし市長に話を聞いた。

(Q.今、ヘルプマークの悪用や転売、模造品が問題になっていますが、ご存じですか?)

(河村市長)
「(体調に)悪いところがないのにヘルプマークをつけて、手助けした子どもにいたずらするパターンもあると聞いたので、そこらへん(啓発活動など)の話を学校でやるか考えているところ」

ヘルプマークについてもっと多くの人に考えてもらうために、今後も取材を重ねていきたい。

取材:CBCテレビ報道部 栁瀬 晴貴(25)
福岡県出身 2019年 法政大学経営学部卒業。CBCテレビに入社し、報道部で記者4年目。
愛知県警担当や遊軍の記者として、殺人事件や不正車検の実態、ドン横キッズ問題などを追う。