着用率全国1位は「愛媛県」なぜヘルメットの着用が浸透?

そんな中、愛媛県の着用率は、2023年7月の調査で59.9%と全国1位。全国平均と比べても圧倒的です。朝の通学風景を取材すると、自転車に乗る高校生たちのほとんどは、ヘルメットを着用しています。

(高校生)
「それが当たり前。大人もかぶった方が良い」

みんながかぶっているから当たり前。この環境をもたらしたのは、10年前のある事故でした。2014年、愛媛県松山市に住む渡邉明弘さんは、当時高校1年生だった長男・大地さんを交通事故で亡くしました。

大地さんは自転車で学校から帰宅する途中、横断歩道でトラックにはねられ、頭を強く打って死亡。ヘルメットはかぶっていませんでした。

(渡邊明弘さん)
「(高校入学時に)自転車を買いに行った時、ヘルメットコーナーで大地はヘルメットをかぶって、鏡を見ていたんじゃないかな。(ヘルメットを)買っていたら、どうなっていたのかなと考える部分はあります」

この事故がきっかけとなり、愛媛県では2015年、全国で初めて、県立高校で通学時のヘルメット着用を義務化しました。当時の旗振り役だった松山大学の長井俊朗教授は、着用率を高める工夫があったと振り返ります。

(松山大学・長井俊朗教授)
「(生徒が)実際に試着してみるのはいいことだった。生徒が思っているより、はるかに軽いと。全学年一斉に、無料で(ヘルメットを)配布した」