6月12日、世界経済フォーラムが、男女平等の実現度合いを示す「ジェンダーギャップ指数」を発表しました。日本は146か国中「118位」。この順位はG7で最下位です。日本の男女格差の解消は、まだまだ道半ばです。
そんな中、名古屋のホストクラブで多くの指名を受ける人気「女性ホスト」に密着。なぜ、男性の仕事と思われているホストを選んだのか? ジェンダーレスの時代に、自分らしさを突き詰める生き方に迫りました。
「トップ5」に入る人気ホストは“女性” 26歳でなぜ「男の職場」に?

名古屋市中区栄のホストクラブ「youth(ユース)」で働く一葉漣さんは、トップ5に入る人気ホストです。黒いスーツ姿にショートカットで接客する一葉さんの性別は「女性」。一葉さんは、女性が好きな女性、いわゆる「レズビアン」です。
(ホスト 一葉漣さん)
「女の子が好きで、キラキラした世界に憧れていた。この年齢まで普通に仕事をしてきて、今だったら、ジェンダーレスの時代だから『いけるかもしれない』と思って働き始めた」
店が開くのは夜8時ですが、この日、一葉さんが現れたのは昼の2時。入念にメイクをし、髪の毛をセットします。
(ホスト 一葉漣さん)
「あまり女の子のメイクと変わらないですよ。(ポイントは)ラメを使わないのと、シャドウは彫りを深く見せるように入れる。声も元々低いし、整形したことはない」
セットが終わった一葉さんは、店の外でプロの演出家とTikTokの撮影です。動画は、ほとんど毎回、数十万~100万回以上再生されているとのこと。続いて、室内でライブ配信も。一つ一つのコメントに丁寧に対応していきます。
営業前には、若手ホストにシャンパンコールの指導。お客さんの楽しませ方を伝え、コール練習には毎日1時間かけています。
「人としていいなと…」“沼った”指名客も 目指すは“No.1”

迎えた開店時間。円陣を組んで営業スタートです。訪れた客に聞くと、一葉さんが女性であることに偏見はないといいます。
(客 20代)
「めっちゃ、かっこいい!(一葉さんが)かっこいいと思って、自分も髪を切った」
(客 30代)
「言われないと(女性だと)分からなかった。すごくすてきな方」
女性である一葉さんを指名で、店に来る人も。一葉さんに「友人とイチゴ狩りに出かけた話」から「安い化粧品の話」、さらに「生理の大変さ」まで、いろいろなことを話します。
(一葉さん指名で来店した客)
「その時の出来事とかをしゃべって、メンケア(メンタルケア)みたいな。人としていいなと沼っていった」
指名した女性の恋愛対象は男性。しかし、一葉さんの人間性にひかれて、店に通うようになったのだとか。
営業終了後も一葉さんは、お礼や次の誘いの電話、LINEなど、長い時間をかけてお客さんに連絡を送ります。
店での売り上げ順位は33人中5位と常にトップランカーですが、一葉さんはそれでも満足できないと話します。
(ホスト 一葉漣さん)
「目指すのは、どこまでいってもナンバーワン。看板だったり、トラックだったり、名古屋全体を僕で埋め尽くせるくらい、全部の1番になりたい」