■中5日ローテ変更の「なぜ?」

12球団でも屈指と言われるドラゴンズの投手陣。開幕からの先発ローテーションもきちんと出来上がり、安定した試合が続いていた。ところが、4月18日の神宮球場での東京ヤクルトスワローズ戦で、柳がそれまでの「中6日」を1日早めて「中5日」で先発した。5対11で敗戦。

翌19日には、ウンベルト・メヒアがやはり「中5日」で先発して、4回4失点で降板。チームはこの後、5連敗を喫していった。試合日程など考慮しての「中5日」登板だったのだろうが、開幕直後だけに、ここはもう少し好調なローテーションを続けてもよかったのではないだろうか。

■盗塁が少ない「なぜ?」

なぜ走らないのだろうか? ここまでドラゴンズの盗塁数は3である。36試合を戦って、3つしか盗塁がない。その内、ルーキーの尾田剛樹が代走の際にけん制球に誘い出された末での“盗塁成功”もあるので、そもそも盗塁自体を仕掛けていない。ちなみに去年の同じ試合数時点では盗塁は9つあった。

盗塁数3は、セ・リーグどころか、12球団でもレベルの違う少なさである。最も多い讀賣ジャイアンツは30盗塁、ドラゴンズに次いで少ない阪神タイガースでも10盗塁である。

4月後半に1軍に合流した福永裕基が、それまで2軍のウエスタン・リーグで記録していた盗塁数は、実に11もある。1年前に右肩を脱臼した田中が、頭から塁に戻れないため大きなリードが取れないことだけは納得できるが、他にもちゃんと走れる選手も多いはず。ベンチの作戦として、なぜこんなに盗塁が少ないのだろうか。

■日替わりオーダーの「なぜ?」

打撃30傑には、ドラゴンズから、細川、中田そして田中の3人しか名前がない。この3選手しか規定打席に達しておらず、セ・リーグで最も少ない。それは、先発スタメンが固まっていないことの証しでもある。
立浪監督は、昨シーズンも143試合で114通りの先発オーダーを組んだ。ドラゴンズのスタメンは目まぐるしく変わっている。しかし、当コラムでも再三にわたって指摘してきたが、打順にはそれぞれの役割がある。個々の打者が“点”ではなく“線”として繋がってこそ、得点に結びつく。8番に入った村松が、翌日には2番、そして次の試合はベンチ。これでは、選手自体も戸惑うのではないだろうか。選手は、役割を踏まえた打撃をして“線”を紡いでゆくはずである。スタンダードがあってこその“やりくり”であるはずだ。

5つの「なぜ?」について、立浪監督も首脳陣も“当然”答は持っているはずである。シーズンはまだ100試合以上ある。どうか、これからの戦いの中で、きちんとその回答を示してほしい。ただ、ファンから見て「なぜ?」という疑問が多いチームよりも、「なるほど!」という采配が多いチームの方が、最終的にペナントレースを勝ち抜いていくことは間違いない。(2024.05.13)

【東西南北論説風(491) by CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】
※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。