「ごめんなと照れ臭そうに出てくるんだろうなと思っていた」

中本佐智さん
「病院に着くと控室に通されて、お母さんちょっとここで待っててもらえますかって言われて座らされていたので、私はきっと何か手違いがあって、大貴はきっと「ごめんな」って照れくさそうに笑って出てくるんだと思っていました。

何分待ったがわかりませんが、救急救命室に通されると、大貴は体中に機械を付けられて頭に包帯を巻いて横たわっていました。

顔には全く傷がありません。身体にも全く傷がありません。穏やかな顔で眠っているようでした。

しかしふと気が付くと、枕とそれにかけてあったバスタオルが赤黒い血で染まっていました。」

心肺蘇生を続けてくれている医師に、もうやめていいかと聞かれても、中本さんは、いいとは言えませんでした。「嫌です、嫌です」と何時間も言い続けたそうです。