長引くコロナ禍による利用客の減少とそれに伴う収入減から、減便に踏み切る鉄道会社が増えています。
しかし、島根県松江市と出雲市を結ぶ一畑電車は、10月のダイヤ改正で、逆に増便を断行。
さらに、一部の各駅停車を急行に替える異例ともいえる「攻め」の一手を打ちました。

2022年春に行われた一畑電車のダイヤ編成会議。

「鉄道を残すためにも収益性の向上を考えて行かなければいけない。そのためにも定期外の利用者の中心となる観光客。これの需要あるいは利便性向上と。」

収益の半分以上を占める観光客らの利便性向上を図る目的で、平日の日中に運行する各駅停車の一部を急行に替えることが提案されました。


一畑電車が行った調査によりますと、主要駅以外で乗り降りする客は、平日の日中は全体の0・4%しかいないため、各駅停車を急行に替えることによって、全線を乗り通す観光客やビジネス客には、目的地に早く到着できるメリットにつながると分析。

例えば、電鉄出雲市駅と松江しんじ湖温泉駅の間は、各駅停車だと最短で55分。
朝1本だけある特急スーパーライナーでも45分と、JR山陰線の特急などに対しては劣勢と言えます。


しかし、急行化によって電鉄出雲市と松江しんじ湖温泉間は、最大で12分短縮され46分に。
時間短縮が利便性の向上につながる 可能性が高くなります。


一畑電車 野津昌巳 次長
「どうしても通過駅の皆様、比率が大変少ないとは言え、ご迷惑をおかけする形になってしまうんですけれども、今回敢えてそういう『攻め』の姿勢で挑んでみたと。」

今回のダイヤ改正では、松江・出雲市間に、新たに日中、上下3往復の急行を設定。
回送列車を転用し、区間運転の急行も設けるなどして、観光客やビジネス客にアピールします。


一畑電車 野津昌巳 次長
「地元の皆さんでお支え頂きながら運行してると。収益の比率という考えから言うと、やはり観光需要もしっかり取り込んで行かなければいけないと。この二律背反する所がどうしてもあるんですけれども、そこのバランスをとる上で、今回、日中帯で急行列車を設定すると。」

急行を利用した人
「速くて良いですよ。」
「選択肢が増えたいうことは、いいことですよね。」
「乗り継ぎとかも考えられてて、あまり長時間乗ってるってイメージもなくて、ここまで着いたんで。」


今回のダイヤ改正は平日のみで、土曜・休日ダイヤはそのままですが、山陰の一大観光地、出雲大社と松江城を結ぶ地の利を生かしたさらなる「攻め」の一手もあるかも知れません。