河野デジタル大臣は13日、紙の健康保険証を2024年秋に原則廃止し、今後マイナンバーカードに一本化する方針を明らかにしました。
マイナンバーカードの取得の実質義務化となる一方、医療の現場からは健康保険証廃止「反対」の声も上がっています。
木谷茂樹 記者
「こちらの受付にはマイナンバーカードを保険証として利用するための機器が導入されています」

島根県松江市内の医院。
健康保険証として使用できる「マイナカード」を読み取る機器が設置されています。
2021年10月から病院や薬局では「マイナ保険証」が導入されていて、2023年4月からは、全国の医療機関などを対象に、こうしたオンライン資格確認の導入が原則義務化されます。

島根県保険医協会 塩毛浩史 事務局長
「マイナ保険証に対応できないので閉院するしかないという切実な意見もあります。医療機関、薬局が来年の4月にマイナ保険証の対応体制を取れるかというと無理筋な話で、非現実的だと考えています」
島根県内の開業医や歯科医およそ720人が会員の県保険医協会。
政府が示した保険証廃止に反対の姿勢を示しています。

島根県保険医協会 塩毛浩史 事務局長
「アンケートに回答した6割の先生が保険証の原則廃止に反対という意見を表明しています。保険証廃止原則賛成というのは9パーセントで、1割にも満たないという回答でした」
会員を対象としたアンケートでは、8割の医師はマイナ保険証には対応の意向を示しましたが、保険証自体の廃止に賛成したのは1割に満たなかったといいます。

医師からはコロナ禍での対応に理解できないという声が上がっています。
アンケートの回答より
「保険証の廃止は現実的でない。まず不可能」
「コロナ禍でこのようなシステム導入を強行されることに断固反対」

中には閉院を検討するクリニックもあると言います。
なぜ、ここまで保険証の廃止に反対するのでしょうか。
島根県保険医協会 塩毛浩史 事務局長
「医療機関にオンライン環境が整うことで医療機関をターゲットにしたリスクが危惧されます。患者がカードを院内で紛失した場合のトラブルや、個人情報が漏れてしまうんじゃないかという懸念もあります」
オンライン上での個人情報の照会などから、情報漏洩などを懸念する声が多いといいます。

島根県保険医協会 塩毛浩史 事務局長
「国はこのシステムを使うことで事務負担の軽減をと言っていますが、現場では患者への説明や、お手伝いの手間が増えるのではないかと考えています」
島根県保険医協会は、廃止の撤回を国や関係機関に要望するとしています。