ブランコを上手にこぐための“コツ”
あの総合科学学術雑誌『サイエンス』や『ネイチャー』にも紹介された注目論文のテーマは「ブランコを上手にこぐためのコツ」。
いったいどんな内容なのでしょうか?
およそ15年間の研究成果を伺ってきました。

新潟医療福祉大学で、人の心理や行動などを専門に研究している山本裕二室長が今年4月に国内外4人の教授とともに発表したのが「ブランコの乗り方理論」。

【新潟医療福祉大学 心理健康学科設置準備室 山本裕二室長】
「これまでにない、ブランコの乗り方理論みたいなのができた」
およそ15年にわたる研究の成果は世界的に注目され、物理学の専門誌にも掲載されたほか、科学雑誌の「サイエンス」や「ネイチャー」でも紹介されました。

「力学シミュレーションを用い、動作解析から実証した…」というのですが、パソコンには難しそうな文字ばかりなので、公園のブランコを使って教えてもらうことにしました!
ポイントは『上半身の動き』なんだそうです。
静止した状態からスタートするのですが、“足を一切使わないで”こぐのは本当に大変です。
【記者】
「全然できないです…」
「本気でやってますか??」
「本気ですよ!」

【新潟医療福祉大学 心理健康学科設置準備室 山本裕二室長】
「足使わない!倒す!今!倒す!!」
山本室長の指示に合わせて上半身を後ろに倒すと、あっという間に勢いが付き、ブランコが前後に揺れ始めました。
【記者】
「えっ?!スゴイっ!!ほんとにスゴイ!」

勢いを付けようと、ひざ下を一生懸命使う人も多いと思いますが…、
【新潟医療福祉大学 心理健康学科設置準備室 山本裕二室長】
「ひざ下よりも上半身の方がはるかに重さがあるから、うまく使うと重心がずれて振幅が上がる」
大事なのは、上半身を後ろに倒すことと、そのタイミングです。
【新潟医療福祉大学 心理健康学科設置準備室 山本裕二室長】
「基本は、後ろに行ったときに倒すイメージ。戻ってきたら倒す」
山本室長提供のシミュレーションモデルによりますと、青い線で表した人の上半身を後ろに倒す時に、赤で示した“力の大きさ”が一番大きくなるのだそうです。

体験した記者によればまさに“目からうろこ”だったとのこと。
息が切れるまで私たちに熱心に教えてくださった65歳の山本室長は、この研究を通してこんなことを感じてほしいと話していました。
【新潟医療福祉大学 心理健康学科設置準備室 山本裕二室長】
「自分の体を使って物理の世界を知るという、体験しないと頭だけではわからないことはいっぱいある。ブランコも単純な振り子ですけど、動かすだけじゃなくて自分が揺れるということで世の中を知ってほしい」
誰もが乗ったことのあるであろう「ブランコ」ですが、物理の視点で改めてこいでみると、少し違った景色がみえるかもしれません。