「自分が決めなくてもいい」 船越優蔵という男
では、この難局を託された「船越優蔵」とは、一体どのような人物なのか。その本質を知るには、時計の針を2000年代前半にまで戻す必要がある。
身長194センチという恵まれた体格を持つが、そのキャリアは順風満帆ではなかった。
新潟に所属した2002年に左アキレス腱を、そして2005年には右アキレス腱を断裂するという、選手生命を脅かす大怪我を二度も経験している。
リハビリ中、彼はスタンドから試合を眺め、「試合で勝って喜ぶ皆を見ている自分というのはちょっと複雑だった」と苦悩を味わった。

だからこそ、復帰した彼は誰よりも「フォア・ザ・チーム」の男だった。










