逮捕した容疑者の逃走や証拠隠滅を防ぐために、警察署の中に設置されている留置場。
そこに留置された人の髪を22年間にわたりカットし続けてきた理容師が、貢献を讃えられて警察から表彰されました。

ベテラン理容師の手さばきはいかに?


新潟市の西蒲警察署の羽豆元一署長から感謝状が贈られたのは、燕市吉田の理容師・堀健一さん(75歳)です。


【西蒲警察署 羽豆元一署長】
「大変ありがとうございました。また今後ともよろしくお願いいたします」


堀さんは西蒲警察署に併設されている理容室で、2000年4月から22年間あまりにわたり、留置された人の散髪をしてきました。


【堀健一さん】
「留置人であろうがなかろうが、頭に関しては理容師が責任を持って留置人の希望通りの髪型にしてあげたいと思っていましたし、これからも体がきく間は、声が掛かればやりたいと思っています」


新潟県内に29つある警察署の中で理容室が併設されているのは、西蒲署と燕署の2つだけ。
西蒲署の理容室は1984年から併設されていますが、老朽化の影響で来年の3月末で閉鎖することになっています。


【堀健一さん】
「若い人だったら親のところにいって親孝行したり、年配の人だったらここにいても不自由だから家に帰れるようにと…。真面目にやって早く出所できるように勧めていました」


燕市にある『ヘアーサロン堀』は江戸時代末期から続く理容室で、健一さんは8代目だといいます。

お店は現在、9代目がメインで営業しているそうですが、59年のあいだ髪をカットし続けててきた堀さんの手さばきを、BSN記者も体感してきました。


下ろしていた前髪をきれいさっぱりなくすことに…。59年磨き上げた手さばきで、伸びきった髪を切っていきます―。


お客さんの喜ぶ顔が何よりの幸せだという堀さん。


【堀健一さん】
「頭を刈るばかりでなく、出来上がるまでのやすらぎ、疲れた体を癒すところまで…。終わってお客さんが喜んだ時には、やっていて良かった、喜んでもらって良かったと思います」


そして…顔周りの髪ともおさらばし、サッパリとした記者が最後に伺いました。


『堀さんにとって理容師とは…?』


【堀健一さん】
「芸術ではないけれども、やはり真面目にやる仕事なのかね。昔から続いているんだからなくてはならないのが理容業だと思う」

堀さんはこれからも、髪を切り続けます。