ハマスによる奇襲とイスラエルの攻撃開始から2年。パレスチナ自治区ガザで停戦が合意されました。一方で、このパレスチナ問題には2年という区切りでは見えてこない、根深い背景があります。
和平計画合意を発表 トランプ氏が会議中のメモを受け取り…

8日、ホワイトハウスでの会議中、メモを渡されたトランプ大統領。
そのメモに書かれていたのは、「SNSの投稿内容を承認して下さい。そうすれば、あなたが合意内容を最初に発表できます」というものでした。

トランプ大統領
「国務長官から中東での合意が間近に迫っているというメモを受け取った。早急に私の助けが必要になるようだ」
この約2時間後、トランプ氏はイスラエルとハマスが「ガザでの戦闘停止」や「ハマスによる人質解放」、「イスラエル軍が合意された境界まで撤退すること」など和平計画の第1段階に合意したと発表。
国際社会からも、この合意を評価する声が...
マクロン大統領
「本日このテーブルを囲む私たち全員が、アメリカの和平計画を支援する用意がある」
10日正午(日本時間午後6時)には停戦が発効し、イスラエルの部隊が撤退を開始しました。合意を受け、ガザ、イスラエル双方の市民は...
ガザ市民
「戦争が再び起きない、本当の終わりであって欲しいと願っています」

イスラエル市民
「戦争が終わるという希望の光が、ようやく見えてきた気がします」
今回ハマスは、生存する人質約20人のほか、人質の遺体を返還するとしていて、13日以降行われる見通しです。

ガザでの戦闘開始から2年。
ハマスがイスラエルを奇襲し、音楽イベントなどに参加していた市民ら約1200人を殺害、250人以上を人質として連れ去ったことをきっかけに、イスラエルによる攻撃が始まりました。
これまでに、パレスチナ人6万7173人(7日時点)が犠牲になり、現在も多くの市民が瓦礫の中、爆撃と飢餓に苦しんでいます。
この2年で、停戦は2度実現したものの、いずれもイスラエルが短期間で攻撃を再開。
今回も恒久的な停戦につなげられるかは不透明だと、パレスチナ問題を30年以上取材してきたジャーナリストの土井さんは言います。

ジャーナリスト 土井敏邦さん
「イスラエルとしてはこのまま停戦で終わることは良しとしない。このまま何もなくて、イスラエルが攻撃に踏み込んだら、トランプ氏の顔・メンツを潰すことになる。なんらかの口実を設けて、イスラエルは攻撃を再開できると考えている。トランプ案が成功するかしないかだけに、焦点をあてていくことは目くらましになってしまう」