コメの盗難被害の共通点

価格の高騰もあり、コメが盗まれる被害が増えていますが、被害にはある共通点がありました。

新潟県十日町市の山間にある集落の農家の布施昌彦さん(53歳)は3月に、保冷庫に保管していたコシヒカリの玄米7袋(およそ10万円相当)が盗まれる被害に遭いました。

「あるはずの玄米7袋が、そっくりなくなっていた」
「作業場にあるはずの鍵がなく、この保冷庫にその鍵が差しっ放しになって…」

新潟県内で確認された玄米盗難被害は、2024年は4件で725kg・被害額は19万4000円でしたが、2025年は9月の時点ですでに前年を超える被害が発生。被害は2倍の1470kg・被害額は52万8500円に上っています。

なぜコメの盗難被害が増えているのか?

警察は、2024年夏から始まった『令和の米騒動』が関わっているとみています。

【新潟県警 安心安全推進室 田中幸永子課長補佐】
「いろいろな理由があるかと思いますけど、コメの値段高騰が、被害が多くなった要因の一つではないかと考えております」

として、被害に遭う農家にはある共通点があると田中課長補佐は言います。

「まず倉庫に鍵をかけていない人が多いです。保冷庫に鍵をかけていても、鍵を倉庫に置きっぱなしにしていて被害に遭っている方もいらっしゃいます」

2月には、新潟県胎内市でコシヒカリの玄米150kgが盗まれる被害がありましたが、作業小屋の出入り口の一部は鍵はかけられていませんでした。

一方で、3月に被害に遭ったという十日町市の布施昌彦さんは、保冷庫に鍵をかけていたそうですが…。

「令和6年になって、コメが足りないとか米不足だっていう話で、米泥棒が来るかもしれないなという話で、保冷庫だけには鍵をかけておこうって」
「作業場の入り口に鍵を置いていたのは、ちょっとミステイクだったなと思っているんですけど…」

同じ集落に住む70代の農家でも、これまでは保冷庫などに鍵をかけていなかったそうですが、布施さんの被害を聞いてから、盗難対策への意識が高まったそうです。

「格納庫の鍵はなかったし、保冷庫もかけなかったけど、盗難の話を聞いて以降は鍵をかけるように考えて、しっかりと対策をしてあります」
「ここまで入ってこないだろうな、という思いでいましたね」
「一回あると、心配しなきゃならないかなと」

【十日町市の農家 布施昌彦さん】
「収穫までくるのにだいぶ手間暇かかっているので、その費用を考えると、盗んでいくっていうのが本当に許せないというか、本当にやめてもらいたい」

コメの盗難対策については、先ずは保冷庫や倉庫に鍵をかけること。
鍵をかけなかった農家の方が被害に遭うケースがいくつかあり、取材でも「まさかここまで来るとは」などといった声が複数の農家の方から聞こえてきました。
「自分が被害に遭うはずがない」といった油断から、被害に遭うケースも多くあるようです。

そして警察は、センサーライトや防犯カメラの設置も勧めています。
光で照らすだけで犯人は嫌がりますので、センサーライトは比較的手軽な対策といえます。
また犯人は“下見”に来ている可能性もあるため、見慣れない人や車があった際にも通報してほしいとしています。