近年のクマ “行動傾向”と対策

15日午後9時半ごろ、新潟県南魚沼市山谷で男性がクマに襲われてけがをしました。2025年度の新潟県内で5件目となるクマの人身被害です。

警察や男性の家族によりますと、自宅の周辺を散歩をしていた男性は、体長1mほどのクマと遭遇し、左ももや右腕などを噛まれたり引っ掛かれたりしました。

【記者リポート】
「クマに襲われた男性は手に持っていた懐中電灯を使ってクマに抵抗したということです。その際クマは池に落ちたということです」

その後、クマは西にある山の方へ逃げました。男性は病院に運ばれましたが、命に別状はないということです。

【男性の妻】
「血がだいぶ出ていたんですけど、ちょっと青ざめた感じでしたね。えっ、うちのお父さんがってうちが?って感じですごくびっくりして」

新潟県によりますと、7月末までに県内での熊出没件数は過去最多の635件で、過去10年間の同じ時期の平均を200件ほど上回っているということです。

新潟県は、8月7日に『クマ出没警戒警報』を発表し、警戒を呼びかけています。

【新潟大学 箕口秀夫 名誉教授】
「クマの生息域は“広がっていく状況”が出てくるんだろうなと」

こう話すのは、野生動物などを研究している新潟大学の箕口秀夫名誉教授です。
箕口名誉教授は、中山間地の人口減少や耕作放棄地の拡大など『時代の変化』によって人間とクマとの境界線がなくなってきていると危機感を強めています。

「私たちの生活が変わったことによって、クマをはじめとする野生動物たちに私たちがどんどん生息場所を提供しているような状況になってきている」

また今シーズンは、クマのエサとなるブナの実が凶作。冬眠前にクマが他のエサを求めて人里へ出没する可能性が高くなっていると警鐘を鳴らしています。

「クマからしてみれば、一歩足を伸ばして人里に下りっていってみたら『おいしくて栄養のあるエサがたらふく食べられる』状況」
「山で一生懸命探すよりは、簡単にエサがとれる方に出て来ようと…」

こうしたことから箕口名誉教授は、対策として『リスク管理』と『危機管理』の2つを上げています。

「市街地にクマのエサになるようなものを置かない。取らない柿の木は伐採する。というのが“リスク管理”」

「クマを見ても刺激せず、最終的には防御姿勢を取るというのが“危機管理”」