2023年に出没が相次いでいるクマ。11日、青森県弘前市郊外で撮影された映像にはクマがクリを食べている姿が映っていました。被害があった施設は日中の作業する時間帯の食害は初めてだとしています。相次ぐクマの出没。専門家は近年クマの生息範囲自体が広がっている可能性を指摘しています。
クマが出没したのは岩木山麓の弘前市大森勝山地区で栗拾いができる「オープンガーデン」です。管理している会津誠さんが11日の朝に目にしたのがクマ3頭が栗を食べている姿でした。その様子を50メートルほど離れた小屋の中から撮影していました。
オープンガーデン 会津誠さん
「ん?ってなってから見たら真っ黒な物体があるぞって。一旦ぐるっと回って上の駐車場のほうから爆竹をこっちに投げて。投げてもあんまりびっくりしない。ゆったりしたもんだ」
オープンガーデンのなかでは2022年の夏、クマに養蜂箱を襲われる被害もありましたが「夜間」でした。今回のように会津さんが作業する時間帯にクマが現れて被害もあったのは初めてだといいます。
オープンガーデン 会津誠さん
「この辺は昔から当たり前にクマはいたところだが地元の人が何か作っている場所まで下りてくるのは珍しい。特に今年はひどいな」
青森県内では2023年クマによる食害が急激に増加。むつ市のサンマモルワイナリーでは2023年は約2.6トンのブドウが被害を受けています。2020年より1.1トン多くこれまでにない規模の被害です。
エムケイヴィンヤード圃場管理部 築舘文徳部長
「車の車両を夜にエンジンをかけたまま、ライトをつけて、ラジオを大音量でつけたまま対応してみたのですが、それもまったく効果がなかった」
「(車から)1メートル、2メートルのところから圃場の中に侵入した形跡が見られたので、クマもそういう環境に慣れている」
人間が活動する場所に多く姿を現すようになったクマ。その要因について専門家は2023年は猛暑などの影響でクマのエサとなる木イチゴなどの生育が悪かったことに加え、近年クマの生息範囲自体が広がっていることを指摘します。
日本ツキノワグマ研究所 米田一彦所長
「クマの生息域が人間側のほうにどんどんせり出してきているわけですね。ですからそれを対策するには里の山を管理する必要があるがそれを担う人がいない、ボランティア活動も停滞しているということになると管理ができないわけです」
2023年に県内で確認されたクマの出没件数は10月9日までに726件と過去10年間で最も多くなっています。クマが生息する場所が広がっている現在、出没した場所には近づかないこと、そしてクマを引き寄せないよう食べ物を屋外に置かないことなどあらためて対策を徹底するほかに手段はありません。