桜の名所 弘前公園

日に日に暖かくなるなか、春の訪れとともに待ち遠しくなる「桜」。国内有数の桜の名所としても知られている青森県弘前市の弘前公園には、毎年美しい桜を咲かせるために子供ではなく桜を子守する「桜守」たちがいます。「桜守」の仕事と樹齢100年を超えても美しい花を咲かせる弘前公園の桜について取材しました。

園内の早咲きの「子福桜」(3月15日)

■弘前公園の桜を守る「チーム桜守」

日本三大桜名所の1つとしても知られている青森県弘前市の弘前公園。毎年4月中旬頃から始まる弘前さくらまつりには、美しい桜の花を見ようと県内外から多くの観光客が訪れ、去年は2021年の来場者数を12万9000人も上回る、延べ33万6299人が来場しました。園内を彩る桜の木々はソメイヨシノやシダレザクラなど52種類、約2600本。しかし、このうち約15%にあたる400本ほどの桜は樹齢100年を超えており、最も樹齢の長い東内門付近のソメイヨシノは推定で樹齢140年ほどと言われています。それでも園内の桜が毎年ボリュームのある美しい花々を咲かせるのは、桜のプロフェッショナル「桜守」たちが管理しているからです。

弘前公園内の桜を管理して守っている弘前市公園緑地課の「チーム桜守」。その職員は現在2人で、仕事内容は公園緑地課の職員同様、弘前公園内の緑地のほか文化財の保存管理ですが、「チーム桜守」の職員は樹木医資格を持っているため、園内の桜や松などの樹木を専門に管理しています。

園内の雪もかなり解けて春間近
春の陽気に誘われてか散歩する市民や観光客の姿もちらほら

■老木でも美しい桜を咲かせる理由は?

「ソメイヨシノの寿命は一般的には60~80年くらい。それくらい経つと木も古くなりボロボロになって枯れるものもあれば、植え替えされてしまうものもある。でも弘前公園の場合は弘前城の史跡だから簡単に植え替えができないので、桜を元気に生かして育てていこうという弘前市の方針で守り続けているんです」

そう語るのは、チーム桜守の1人である海老名 雄次さん。樹木医の資格を取り、2013年からチーム桜守のメンバーの1人として弘前公園内の桜を守り、管理してきました。
そんな海老名さんに話を伺ったところ弘前公園の桜が100年以上生きて美しい花を咲かせてきたのには、この地で生まれた「弘前方式」と呼ばれる管理方法が徹底されているからだと言います。

チーム桜守の海老名 雄次さん
早咲きの子福桜はもう少しで花を咲かせるため、一足早く春を感じられる