アメリカ軍三沢基地所属のF16戦闘機は、2021年11月30日、青森県深浦町に燃料タンクを投棄して青森空港に緊急着陸しました。発生から5日経った12月5日、トラブルが起きた機体は整備を終えて三沢基地に戻りましたが、国や県がアメリカ軍に求めている十分な説明はなされていません。


11月30日に青森空港に緊急着陸したアメリカ軍三沢基地所属のF16戦闘機は、12月5日、整備・点検を終えて三沢基地に戻りました。このF16は、訓練中にエンジンの油圧が下がる警告が表示されため、機体を軽くするために燃料タンク2個を深浦町に投棄していました。

投棄された燃料タンク(青森県深浦町)


※村上怜生 記者
「タンクと見られるものが落ちていた現場です。道路上には砂がまかれていて、周辺は油のようなにおいが漂っています」

このうちの1個は、深浦町の国道101号沿いの住宅地のすぐそばで見つかりました。

※深浦町民
「もう50メートルもずれていたら民家にいっていたし、道路のすぐ脇だし車にも影響があったと思うので、住民の安全も考えていただきたいと思います」

2個目のタンクは、1個目の発見場所から南東に700メートルほど離れた山林で見つかりました。燃料タンク投棄によるけが人はいませんでしたが、事態を重く見た三村知事は、アメリカ軍に対し事故原因の究明や再発防止に万全を期すことを要請しました。

山中で発見され回収される燃料タンク

※アメリカ軍三沢基地 ティモシー・マーフィー副司令官
「この度の緊急着陸が発生したことで、知事を始め県民の皆様にご迷惑をおかけしていることを、あらためて心からお詫びしたい」


※三村申吾 青森県知事
「民生安定を損なうとともに、米軍の安全管理体制に不信感を増幅させるものであり誠に遺憾だと思います。大惨事を起こしかねなかったことを決して忘れないでいただきたい」

また、防衛省は安全が確認されるまでF16戦闘機の飛行中止をアメリカ軍に求めていましたが、トラブルのわずか2日後には安全対策の説明がないまま飛行が再開されました。これまで築いてきた信頼が崩れるようなアメリカ軍の対応に三村知事は、岸信夫(きし・のぶお)防衛大臣へあらためて、今回の問題の説明などをアメリカ軍に求めることを申し入れました。

※三村申吾 知事
「納得のいく説明を含め、国の責任おいてしっかりとしていただきたい」


※岸 信夫 防衛大臣
「防衛省として地元の皆様から預かった思いを米側に伝えきれない結果を重く受け止め、事故原因の究明・実効性のある再発防止策の整備・安全確保の徹底などを米軍に申し入れていきます」

自治体への連絡の遅さに加えて、再三に渡る要請などへの対応も十分とは言い難く、今回の問題でアメリカ軍との関係性における課題があらためて浮き彫りとなりました。

青森空港を離陸するF16