夏の高校野球青森大会は16日、3回戦8試合が行われ、ベスト8が出そろった。メイプルスタジアム(六戸町)では弘前実業が弘前東と対戦した。

六戸メイプルのスタンドから熱い視線と声援を贈る女性の姿があった。弘前実業、背番号10の須藤日向(すとう・ひなた)投手(3年)の姉・芽生(めい)さん(20)だ。

弟にとって「最後の夏」を応援しようと、弘前実業の応援席に駆け付けた。

芽生さん
「今日は絶対に勝ってくれると思います」

芽生さんの言葉通り、4回までに5点のビハインドとなりながらも、弘前実業は粘った。5回に打線がつながり4点を返すと、7回にも1点をあげ、同点に。

芽生さん
「普段は生意気で、元気な弟です。でも愛してます。今日の試合、まだ出番はないけれど、出場したら私の声を聞いて抑えてほしい」

2回戦の名久井農業戦では先発投手としてマウンドに立ち、勝利に貢献した須藤選手。ただこの日、最後までマウンドに上がることはなかった。弘前東に8回に3点を勝ち越されると、5対8で試合終了を告げるサイレンが鳴った。

試合後、姉の芽生さんが見守る応援スタンドに挨拶に向かう須藤選手。その顔に涙はなかった。

芽生さん
「目が合ったらニコニコで、やりきったぞ!っていう顔でした。小学校2年生から始めた野球を私も応援してきた。今は、私も清々しい気持ちです」

生意気な弟の成長を見届けた夏。

芽生さんは最後にこう口にした。

「これからも弟・日向の人生を応援し続けます」

激闘を終え、一緒に〝日向〟で映った写真には少し恥ずかし気な弟と満面の笑みを浮かべた姉・芽生さんがいた。