去年12月、オリンピックイヤー幕開けを前に陸上男子100m日本記録保持者の山縣亮太(31、セイコー)と元日本記録保持者の桐生祥秀(28、日本生命)がアシックス新製品のプロモーション撮影に参加していた。来季モデルのウェアとスパイクに身を包みトラックを二人が駆け抜けると、カメラマンや関係者からは思わず「はやっ」とざわめきが起こった。

レースではライバルの二人だが、トラックを離れればプライベートで食事に行くほどの仲。「やっぱり大先輩との撮影は緊張するわ」と後輩の桐生が言えば、「絶対ウソ」とすかさず先輩の山縣が突っ込む。二人の撮影は終始笑顔の中行われていた。

撮影が行われたのは桐生の28歳の誕生日(12月15日)前日。山縣から自身のイラストが描かれたケーキを手渡された桐生は、こう語った。

「27歳から28歳に変わった以外に本当に何も感じない。30歳にもなっていないし自分の中では中途半端。子どもにとっての1年はすごく大きいけど、僕にとっての1年は大きく変わらない(笑)でも、ひとつ年を重ねた28歳ではパリ五輪が控えている。やっぱり4年に一度のオリンピックは特別だと思うので、その権利をしっかり勝ち取れるように28歳はしっかりと結果を出したい」