井戸水を生活用水に使う宮城県丸森町の山間部の一部世帯で、去年から水不足が続いています。町は、公共施設の水道を開放するなど対応していますが、自力での確保が困難な世帯もあり生活に影響が出ています。

丸森町耕野地区にある「いなか道の駅やしまや」。去年11月下旬から水が出なくなり、カレーなどランチの提供を休止しています。

いなか道の駅やしまや 八島章太郎さん:
「本当はお客さんに(食事を)出して満足して帰ってもらいたいのに、できなくてごめんなさいというしかない悔しさがある(記者:タンクに入っている水は?)別のところから水を持ってきてお皿洗ったりコーヒーを出すのに使っている」

店では井戸水を使用していますが、水不足解消の目途がたたないため25日、8トンの貯水タンクを設置しました。

いなか道の駅やしまや 八島章太郎さん:
「トイレとか蛇口に供給できるようにつけた。だいぶしんどい。生きていくうえで飲み水もそうだが水は絶対必要、暮らすにしても店を営むにしても水がないのはだいぶこたえる」

水不足の背景にあるのが降水量の少なさです。

丸森町 佐々木秀之副町長:
「丸森町の平均の年間降水量が約1298ミリぐらいなんですが、去年については865ミリということで3分の2の量だった。山間部はどうしても井戸水ということで、その井戸の渇水ということが起きた」

このうち耕野地区では、9割の世帯が生活用水として井戸水を使っていて、去年の夏から水が出なくなり、現在およそ40世帯に影響が出ているといいます。町は、公共施設の水道の開放や1人暮らしの高齢者など自力での確保が困難な世帯に水を配達するなどしています。

耕野まちづくりセンター 大槻康浩事務局長:
「週2回(配達する)1回300リットルぐらい。お風呂に入る回数や洗濯など色々困っているという話は行くたびに聞く」

耕野まちづくりセンターは、水が出ない世帯のために洗濯機や従業員用のシャワー室の無料開放なども行っています。長期間にわたって深刻な影響が出ている井戸水の渇水。一刻も早い解消が待たれます。丸森町では、山間部を中心に22.5パーセントの区域で水道が普及しておらず、井戸水や地下水を生活用水に利用しています。町は「山間部では住宅が点在するなど地形的な理由や、事業費の面で水道を整備することが難しい」と話しています。