◆ショーケンが歌う主題歌
主題歌はショーケンこと、萩原健一さんが歌う「ララバイ」。金子さんは、40年前に公開された際のパンフレットにこう書いています。
「コンサートの帰りに、新宿で昔のやくざモンと出っ喰わしてこの曲のライブテープを聴かせたらやくざモンが泣いてるのね。これだ!!と思って一気に脚本を書き上げた」
YouTubeに出ている予告編の音声をお聴きください。
「てめえら腐った代紋ぶら下げて、商売できると思ってんのか! 俺は山東会の竜二だ!」
♪離れてみりゃ 不思議なもの
逢いたくて気がめいる
オモチャあるかい 泣いたりするかい
「なんだと、この野郎!」「てめえらも知ってるくせに、この野郎、とぼけやがって! てめえら誰のおかげで道が歩けてんだよ? おいコラ!」
♪せめて唄うよ My Baby Lullaby
竜二の独白「さまよう私にもたった一人のガキが居ました。そのガキも今は無常に離れ離れ……。私は本日ここに力尽き引退いたしますが、ヤクザもんは永遠に不滅です」
♪その無邪気な澄んだ瞳
夢見ている 幼ない子
妻まりこ「本当に野菜が高いわね」
竜二「うるせえな、この野郎!」
♪きっといつかは 願いもかなうさ
しずかにおやすみ My Baby Lulla-By
主題歌は、家族を思う歌です。それまでのヤクザ映画とは全く違うことが分かりますね。ショーケンと一緒に音楽をしていたギタリストの速水清司さんが作詞・作曲しました。「確か以前、ショーケンを特集した本を買ったなあ」と自宅の本棚を探したらありました。『文藝別冊 KAWADEムック 萩原健一 傷だらけの天才』(2019年、河出書房新社、税別1300円)に、清水さんのインタビューが載っていました。
――『竜二』(1983年)では速水さんが作詞、作曲された「ララバイ」(『ドンジュアン』収録)が主題歌になっていますね。
速水:主演の金子正次さんがドンジュアンのライヴで「ララバイ」を聴いて、これで映画をつくりたいと思ったって人づてに聞いてる。金子さんは脚本も書かれていて、「キネマ旬報」の八三年の号では、本物のヤクザにあの歌の歌詞の一節を「ぶつけてみた」と書いてらしたね。「その無邪気な 澄んだ瞳/夢みている 幼ない子/元気でいるかい/友達 いるかい/せめて お前に/ My Baby Lulla-by」「この唄に出会えなければこの映画は作れませんでした。作詞作曲の速水さん感謝します」とあってね。僕はお目にかかったことはなかったんやけど。(188ページ)
記憶に残る曲です。その曲にインスパイアされて、映画が生まれている。登場人物は痛々しくも若々しくて、本当に魅力的です。この映画『竜二』で輝いていたのは、主人公の竜二だけではありません。演じた金子正次さんも輝いていました。中洲大洋劇場での上映はまもなく終わりますが、DVDも出ています。ショーケンの「ララバイ」はYouTubeで聴くこともできます。
◆神戸金史(かんべ・かねぶみ)
1967年生まれ。毎日新聞に入社直後、雲仙噴火災害に遭遇。福岡、東京の社会部で勤務した後、2005年にRKBに転職。報道部長、ドキュメンタリーエグゼクティブプロデューサーなどを経て現職。近著に、ラジオ『SCRATCH差別と平成』やテレビ『イントレランスの時代』の制作過程を詳述した『ドキュメンタリーの現在 九州で足もとを掘る』(共著、石風社)がある。80分の最新ドキュメンタリー『リリアンの揺りかご』は3月30日、TBSドキュメンタリー映画祭・福岡会場で上映予定。














