中国政府は新疆ウイグル自治区でテロ対策に取り組んだ結果、「住民の収入が向上した」とする白書を発表し、ウイグル族に対する政策を正当化しました。

中国政府は23日、「反テロリズムの法制度に関する白書」を発表しました。

この中で、少数民族のウイグル族が暮らす新疆ウイグル自治区で「テロ対策」に取り組んだ結果、2012年から2022年の10年間で住民の収入がおよそ2倍に増えたと強調。

およそ306万人が貧困から脱却したと成果をアピールしました。

また、新疆ウイグル自治区を訪れる観光客は過去最高を更新し、地元に多くの就職先を生んでいると強調しています。

新疆ウイグル自治区では中国政府の支配に反発した住民のデモが相次いでいましたが、中国政府はここ数年、「テロ対策」の名のもとに中国語教育を強要したりイスラム教の信仰を禁止したりするなど抑圧的な同化政策を強化してきました。

また、国連などはウイグル族の人たちがいわゆる「強制収容所」に収容され、拷問や虐待、思想教育を強要された可能性があると指摘していますが、白書では、「各国の政治体制には違いがあり、直面するテロの形も異なる」として中国政府の政策の正しさを強調するとともに「人権を口実に他国の内政に干渉し、主権を侵害する行為が行われている」と西側諸国を批判。

中国政府は「過激思想に惑わされた人々を教育によって救い出した」と正当性をアピールしています。