ロシアによるウクライナ侵攻。そして、イスラム組織ハマスとイスラエル軍の戦闘。2つの戦争から逃れたユダヤ人たちが集まる場所があります。戦争に翻弄され、過酷な運命に向き合う人たちの思いを聞きました。
中欧・ハンガリー。湖沿いのリゾート施設にその場所はあります。
記者
「施設にはシナゴーグもありまして、お昼の祈りの時間とあって、人々が集まってきています」
ユダヤ教の寺院「シナゴーグ」では、避難してきたウクライナ系のユダヤ人が祈りを捧げていました。
ウクライナ・キーウから避難
「ここは快適ですよ」
「子どもが爆撃を心配しなくていいですからね」
現在、避難生活を送るのはおよそ70人。ハンガリー政府の協力でロシアによる侵攻から逃げた人たちや、去年10月のハマスによる攻撃でイスラエルから避難した人たちが暮らしています。
食事は肉と乳製品を一緒に使わないなど、「コーシャ」というユダヤ教の教えに基づいたものが提供されています。
ウクライナ・ユダヤ人コミュニティー連盟 メイル・スタンブレール代表
「ユダヤ人にとって共同生活は非常に大切です。ここにはラビ(ユダヤ教の指導者)もいて、物資だけでなく宗教的に必要なものが揃っています」
ウクライナ東部ルハンシク州出身のズシャ・プレトニョフさん(34)。11歳から生後6か月までの5人の子どもを連れ、家族7人で避難してきました。
2014年に始まったウクライナ軍と親ロシア派の武力衝突により、ズシャさんはルハンシク州から首都キーウに避難しました。ところがその8年後、ロシアによる軍事侵攻が開始。再び避難を余儀なくされたズシャさんはイスラエルへとたどり着きます。
しかし、今度はイスラエル南部のアシュケロンでハマスによる攻撃を受けました。
ズシャ・プレトニョフさん
「アシュケロンの自宅アパートにロケット弾が直撃した次の日、ほんの10分前まで子どもたちが遊んでいた場所にも着弾しました。次にどこにいけばいいのか、本当にわかりません」
いまの一番の心配事は子どもの教育。友達とも離れ離れになり、精神面への影響も気になります。
ズシャ・プレトニョフさん
「正直に言って。どこに行きたい」
長男
「わかんないよ」
次男
「アルゼンチン、日本、日本!」
安全な場所を求めては次々と起こる紛争。そのたびに住処を追われ、罪のない人たちが犠牲になる現実を目の当たりにしてきました。ズシャさんに毎日の祈りについて聞くと、しばらく考えたあと、こう話しました。
ズシャ・プレトニョフさん
「全世界の平和を祈ることはありません。それはないです。私はただ、心穏やかに過ごしたいと祈っています。罪のない人が殺されることがいいなんて、思ってはいません。ただ私の周りで起きたことは、建物にミサイルが着弾した、人が死んだ。そういうことです。イスラエルの私のアパートも同じです」
戦争に翻弄され続けた人にしかわからない感情。ズシャさんの言葉は、世界の厳しい実情を表しているようでした。
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