今オフにメジャー挑戦を表明し、複数球団からのオファーが届く中、ポスティングシステムでレイズとマイナー契約を結んだ上沢直之投手(29)が19日、エスコンフィールドHOKKAIDOで移籍会見を行い、メジャー挑戦への強い決意や、古巣・日本ハムへの感謝、そして家族への思いを語った。

“マイナー契約”からの挑戦

「ピッチャーに対する球団全体のプライド、そこ(投手)で勝つんだという強い思いを感じたので、それが僕の中では決め手になりました。迷いは正直ありました。すごく評価してくださったチームは他にもあった中で、自分がメジャーの舞台でレベルアップした姿で投げると考えたときに、やっぱりレイズという結論に至りました」

16日付のAP通信によると、契約金は約363万円で、基本年俸はメジャー昇格で約3億6300万円、マイナーなら約3260万円だという。過酷といわれるマイナーリーグ。メジャーに這い上がることは並大抵のことではない。夢の舞台へ後押ししたのは、家族の存在も大きかった。

「チームを決断するときは家族にも相談しました。他のチームに行ったほうが安定はしていたかもしれないけど、『やりたいところでやるのが一番いいんじゃない』と言ってもらえたのも、今回レイズを選択できた理由の一つです。負担はこれから増えるかもしれないですけど、野球人生が終わったときには家族みんなが幸せでいられるようにしたいなと」

古巣、日本ハムへ「ファイターズでなければ野球選手を続けていなかった」

会見では、プロ入りからの12年間を過ごした日本ハムに感謝の言葉も述べられた。

「良い時ばかりではなかったですし、心が折れそうなときもたくさんありました。でもそういうときに、周りの選手やコーチ、監督、ファイターズに関わってくれた方々が僕のことを支えてくれたというか。ファイターズに所属していなかったらきっと野球選手を続けることもなかっただろうと思うくらい、周りの方に恵まれたと思っています。入団が決まって寂しさも出てきていますし、改めて僕はファイターズが大好きなんだなと感じました。」

「翔平に追いつけるように」新天地での飛躍を誓う

上沢は2月14日から始まるメジャーキャンプに招待選手として参加。待ち受ける厳しい戦いを勝ち抜けばメジャー昇格のチャンスもある。

「キャンプ初日からどんどん勝負していかなきゃいけない立場なので、すごく張りつめているというか、気を張っている状態です。ダルビッシュさん、(大谷)翔平とは立場はかなり違いますけど、同じチームで過ごした先輩後輩に追いつけるように頑張りたいなと。ファイターズで学んだこと全てを生かして、アメリカの地で戦っていきたいと思います」

■上沢直之
1994年2月6日生まれ、身長187センチ。千葉県松戸市出身。2011年ドラフト会議で北海道日本ハムファイターズから6位指名を受けプロ入り。2014年4月2日ソフトバンク戦でプロ初登板初先発初を果たし6回7奪三振1失点でプロ勝利を記録。2021年には自己最多の12勝をマーク。オールスター出場3回。