“聞く力”を発揮し決断?しかし党内の根回しはなく一方的

藤森祥平キャスター:
整理しますと、岸田派でも3000万円の収支が記載されていなかったことがわかった。これを受けて18日の夜になって、岸田総理が岸田派の解散を検討していると明らかにした。なぜ今?

宮本晴代 記者:
まさに今、永田町も激震が走っていて「なぜ今?」というふうに思っています。自民党の幹部たちも聞いていなかったんですね。党内の根回しを、全くやっていないということでした。

「なぜなんだ」ということで、(解散検討表明からの)この数時間みんなワーッと走っているんですけれども、考えられる背景としては二つ指摘できると思います。

そのうちの一つが、岸田さんは“聞く力”ということをよくいわれると思うんですけれども、それを今発揮したのではないか。

どういうことかというと、岸田総理は今回のこの裏金問題を「何とかしなきゃいけない」と、かなり力を入れてきたんですね。

16日、政治刷新本部というのが開かれました。普通だったら総理大臣というのは、ああいう会合は出席しても冒頭だけ挨拶して、さっと帰ってしまうことが多い。ですけれども、岸田さんはご本人が希望して「いや、僕はみっちり聞くんだ」と、3時間みっちり聞いた。そこで、かなり厳しい意見が出たわけですね。

ある政権幹部は「国民の信頼を取り戻すには、もうこれしかないんだ。火の玉になってやる」、それぐらいの決意を(岸田総理が)示したのではないかというふうにも言っています。

もう一つの見方は、「焦って1人で“岸田の乱”?」ではないかと。先ほどもありましたけれども、岸田派の会計責任者が、どうやら立件されるようだという見通しになっています。

これが岸田さんがわかったのが、実は17日の夜なのだそうです。側近によりますと、そのとき岸田さんは非常に思い詰めた様子だったそうで、18日の夕方になってこれを決断したと。

「安倍派の問題です」というふうに済まされなくなってしまったわけですよね。これまでも岸田さんは、人事ですとか、いろんな大事なことを1人でかなり抱え込んで決めてきたという部分があるわけです。

今回もこういう重要なことを1人で決めたのだとしたら、ある自民党関係者に聞いたら「もうこれは“岸田の乱”と言われざるを得ない」と言っています。

なぜなら、これで派閥解消になるかどうかわからないわけです。というのは、岸田さんは岸田派46人のボスですけれども、他にもこれだけの派閥があるわけですね。

<自民党派閥>
▼安倍派 99人
▼麻生派 56人
▼茂木派 53人
▼岸田派 46人
▼二階派 38人
▼森山派 8人

この方たちに全く根回しをしない状態で、一方的に解散を検討するということを表明していて、今後どうなるか本当に不透明です。