西)ニュースの中の気になる言葉に注目するコーナー、「ニュースの言葉」です。西美香と橋本星奈、私たち2人でお伝えします。12日、霊感商法の問題に取り組む弁護士団の会見ではこんな話が出ました。

西)こちら、旧統一教会、現在の世界平和統一家庭連合が出していたという本です。弁護士の話では1冊3000万円もするということでした。
橋本)驚きましたよね。

西 美香                橋本星奈




西)旧統一教会は「宗教法人」という位置づけなんですが、この本に税金はかかるのかなど調べてみました。そもそも宗教団体が法人化したものを宗教法人と言い、設立の前提として3年程度の活動実績が必要です。文化庁のまとめでは神道、仏教、キリスト教、その他、全て合わせると、国内には18万以上もの宗教法人が存在します。

橋本)かなりの数ですね。

西)宗教活動そのものは任意団体のままでもできますが、法人化することで、税制上の優遇措置が受けられるというメリットがあります。色々とあるのですが、ポイントのひとつは「法人税」です。宗教法人の場合は、▼本来の宗教活動にあたる「非収益事業」は非課税で、▼「収益事業」に対しては課税されますが軽減税率が適用されます。

橋本)通常の法人と比べると5パーセントくらい低いんですね。

西)法律上、宗教法人はあくまでも営利を目的としない「公益法人等」に含まれるという位置づけなので、こうした優遇措置が取られています。

橋本)この「収益事業」かそうでないかはどこで判断するんですか?

西)国税庁の資料によれば、例えばお守りやおみくじはそれを作るためにかかった原価プラス利益というよりは、ご利益、あるいはお告げが記されていると期待して購入しますよね。税法上は、喜んで捨てる金と書いて「喜捨金(きしゃきん)」と呼ぶそうですが、そういう宗教的な部分に対してお金を出していると認められるものについては「収益事業」にはなりません。

橋本)さい銭とかお布施、献金も非課税ということですね。

西)一方で一般的にも販売されているような、例えば、線香やろうそく、数珠などを通常の価格で販売する場合は、「物品販売業」に該当し、収益事業となって課税されます。こうした課税対象となる「収益事業」は物品販売業も含めて34種類あります。この中に「出版業」があり、例えば、その宗教の考えなどをまとめた教典や法話集。これは、販売するなら「出版業」になります。ただし、会報誌のような形で会員に無料で配るものであればそれは収益事業には当たらず、非課税です。

西)では、旧統一教会が出していた、創始者の説教集はどうでしょうか。こちらは1冊3000万円とも報じられましたが、改めて旧統一教会、世界平和統一家庭連合にJNNが問い合わせたところ、これは教会に貢献した信者に授与したものであり、売り物ではないそうです。

橋本)販売していないから出版業にはあたらないと?

西)この「貢献」の内容が、「多額の献金」というケースもあることにはあったが、基本的には何らかの形で貢献した信者に感謝の気持ちとして渡すものなので、収益事業ではないとしていて、つまり、非課税になります。

橋本)理屈としては成り立ってますが…それでいいのかという見方もできますね。

西)世界平和統一家庭連合によれば、この本は1990年後半ば頃に渡されていたもので現在はないそうですが。12日会見した弁護士は、統一教会をめぐる霊感商法の被害は今も続いていると訴えていました。以上、ニュースの言葉でした。

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