「おとなは、だれも、はじめは、子どもだった」
「かんじんなことは、目に見えないんだよ」
このフレーズどこかで聞いたことありませんか?世界中で愛される童話「星の王子さま」、実は熊本と意外な接点がありました。

1943年に海外で出版された「星の王子さま」。転々と星を旅する王子様が地球へやってきて砂漠で出会ったパイロットに旅の話を聞かせる物語です。
作者はフランス空軍のパイロットだった サン=テグジュペリ。物語は彼の経験がもとになっています。

一方で、物語のフランス語の原題は「Le Petit Prince」直訳すると「小さな王子さま」ですが、熊本市出身の文学者 内藤濯(ないとう あろう)さんが「星の王子さま」と訳したといいます。

熊本県立図書館 吉永明彦館長「原題を変えて訳しているのは日本だけらしいです。ある意味で内藤濯の功績ですよね」
なぜ熊本出身の内藤さんが翻訳に携わったのか、フランスとの交流を続ける小野さんは次のように話します。

熊本日仏協会 小野豊和さん「なんで内藤濯さんが翻訳することになったかというと、(原作のフランス語が)非常にリズミカルな文章なので詩をよく理解している内藤先生が一番ふさわしいと」

声に出して読んだ時の響きを重視した翻訳は、人々の印象に深く残るこれまでにない斬新な手法だったとします。
その手法は、文章の中にも。象を飲み込んだ大蛇「ボワ」のことを、「うわばみ」と表現しています。
小野さん「熊本は酒飲みの男がいっぱいいて、それを『うわばみ』って言いますよね。だから、うわばみが象を食っちゃったと(訳した)」
独特の表現方法で翻訳した内藤さん。その功績を称える石碑が子ども向け図書館の建設が進む県立図書館の敷地内に建てられています。

吉永館長「子ども本の森 熊本に来る子どもたちがこの文学碑を見て『星の王子さま』を手に取って読むかもしれない。そういった動機づけに役立っていただければと期待するところです」