10日に投票と開票が行われた参議院選挙。福岡と佐賀の選挙区では、いずれも現職が当選を果たしました。安倍元総理が凶弾に倒れ、異例の展開を迎えた選挙戦。今後の政権運営に与える影響も注目されます。
◆バンザイなき当選
過去最多の16人が立候補する乱戦となった福岡選挙区。安倍元総理が演説中に銃撃され亡くなったことを受けて、最終日には各陣営が喪章を付けて街頭に立つ、異例の選挙戦となりました。そして、昨日――。

「安倍総理に黙とうを捧げることによって、勝利宣言とさせていただきたいと思います。黙とう!」
福岡選挙区で58万票あまりを獲得し、トップ当選を果たした自民党・現職の大家敏志氏。万歳三唱は自粛し、静かに当選の喜びを分かち合いました。
一夜明けた11日、3期目の任期に向けた抱負を語りました。

大家敏志氏「切実な声の裏返しでもあると思いますので、まずは自分の立場からして財政政策を通して国民生活・県民の暮らしを守ることに万全を尽くしていきたいと思っています」
◆選挙戦を終えて

古賀之士氏「秋野先生、おめでとうございます」
11日朝、博多駅前であいさつを交わした、立憲民主党の現職・古賀之士氏と公明党の秋野公造氏。前回トップ当選を果たした古賀氏は、大きく票を減らしたものの再選を果たしました。

古賀之士氏「全国的な党勢を延ばすことができなかった現状から考えると、一層果たさなければならないという重みを感じています」

比例代表から選挙区に移った公明党の秋野公造氏は、知名度不足が懸念されましたが、連立を組む自民党からの応援もあり、3番手に滑り込みました。
秋野公造氏「国に届け切れていない課題をきちっと国に届ける、そして形にするということにこだわって頑張っていく」
◆佐賀選挙区では

一方、佐賀選挙区では自民党の現職・福岡資麿氏が3回目の当選を果たしました。今回の参院選では自民党が63議席と、単独で改選議席の過半数を獲得。また、野党は日本維新の会が改選前の議席から倍増するなど躍進する一方で、旧民主党系の2つの党が議席を減らす形となりました。
◆党と党の激突も
今回の選挙戦ではこんな場面もー。

日本維新の会 馬場伸幸共同代表「立憲民主党もぬるま湯につかっているんです」
立憲民主党 泉健太代表「(日本維新の会は)自民党をピリッとさせるって言ってるんですよ。そんなことで政治変えられますか、みなさん」

◆政界ウオッチャー・与良さんは
長年政治取材を続けてきた毎日新聞専門編集委員の与良正男さんは「野党の役割を考えなくてはいけない重要な局面にある」と指摘します。

「プーチン大統領を見てご覧なさい、と。国内で批判勢力がなくなると、メディアの問題も含めて、いかに権力が暴走することをまざまざと見せつけられている。きちんとした野党はどうしても必要だと思いますね」
その一方で、国政に大きな影響力を示してきた安倍元総理が亡くなったことで岸田総理の真価が問われることになると言います。

与良さん「後ろ盾でもあったわけです、岸田さんにとって安倍さんは。最近はミスター検討中と言われているわけですから、それでは黄金の3年間はこないだろう。まさに独り立ち、自立しないといけない局面に岸田さんは立たされた。自分の考えをきちんと言っていくことができるのか。あるいはそれに党内で異論を唱える声が出るのか、いろいろ課題はありますよ」

投票率は福岡選挙区が48.76%、佐賀選挙区が51.12%と前回を上回ったものの、依然として有権者の半数が投票に行っていない状況です。ウクライナ情勢に、歯止めがかからない物価高への対応、そして再び感染が拡大している新型コロナの対策。国民の不安に応える政治の力が求められています。