「『おことば』の原案を中国側に非公式極秘に提示」

中国側
「中国として日本を難しい立場に立たせるような要求はしないので信頼してほしい」

日本側
「日中間の過去に触れる陛下のお言葉の問題が、あたかも最も重要であると考えられているのであれば、本末転倒であり断じて容認できない」

しかし、日本側はこう続けます。

「陛下の御訪中が未来に向けての友好協力のためであるという本旨につき、あらかじめ日中間で認識を同じくしておきたい」
「中国内部や我が国内でやっかいな論議が生ずることを避けるため、わが国政府において原案が作成された後、非公式かつ極秘りに提示し、中国側の意見を聞きたいと考えている」

谷野作太郎元中国大使(87)
「ご訪中されるからには、中国は、その成果を積極的に受け止めてくれなきゃ困る。だから中国側に案を示して、これで行こうという中国側の了解も得た。そういう作業をやっていた」

当時、外務省アジア局長として交渉にあたった谷野氏は、JNNの取材に「陛下の『おことば』の原案を相手国に見せることは異例だ」と話しますが、その後の「おことば」をめぐるやりとりは、今回の公開文書には含まれていません。

谷野氏は「非公式というのは公式じゃないから記録にも残さない。機微に当たるから」とも話しますが、外務省は「記録が作られていなかったか、廃棄された、もしくは開示されなかった可能性がある」としています。