原発再稼働へ向けた議論が一歩進むことになりそうです。東京電力柏崎刈羽原発に出されている事実上の運転禁止命令について、原子力規制委員会は27日、2年8か月ぶりに解除しました。
命令の解除は27日、原子力規制委員会の会合で正式に決定し、午後には東京電力に対し通知書を手渡しました。

柏崎刈羽原発をめぐっては、IDカードの不正使用や侵入検知設備の故障など、テロ対策の不備が相次いで発覚。

規制委が21年に事実上の運転禁止命令を出し、東電の再発防止策をチェックする追加の検査を行ってきました。

27日の会合で規制委は、東電の現状について「自律的な改善ができる状態である」として、5人の委員全員が命令の解除を認めたほか、原発を運転する東電の事業者としての「適格性」についても再確認できたと判断しました。

【原子力規制委員会 山中伸介 委員長】「継続的に安全性、あるいはセキュリティーの向上を図っていくのは事業者の責任であると思っているし、お墨付きを与えたつもりはない。自分たちの弱みをきちんと分かった上でゼロからのスタートでこれから改善していってほしいと思っている」

これに対し、東京電力の小早川智明 社長は…
【東京電力 小早川智明 社長】「改善をどういうふうに進めてきたか、これからどういうふうに進めていくかについて、我々のありたい姿をしっかりと地元の皆さまに伝えていくことが重要。私がしっかり先頭に立って説明をしていく」

2年8か月ぶりの命令解除を受けて今後、注目されるのは『地元の同意』です。

規制委の決定に先立ち花角知事は…
【花角知事】「今後しっかり県にも聞かせてもらいたいと思うし、県の技術委員会が柏崎刈羽原発の安全性の確認作業を進めているので、技術委員会においてしっかり確認していきたい」

再稼働の時期について花角知事はこれまで「信を問うこと含め、県民の意思を確認する」としてきました。

Q「再稼働に是非について」
【花角知事】「判断を示す時期は全く今イメージはない」

「県民の意思の確認方法は?」
【花角知事】「決めているものはない」
一方、原発の立地地域は…
【柏崎市民は】「賛成とも言い切れないけど反対はしない」
【柏崎市民は】「このままの状態だと柏崎も経済が回っていかない部分もあるかと思うので、なかなか難しい判断だとは思うが、私としては安全さえ確認されれば稼働してもいいのでは」

柏崎市の桜井雅浩 市長のもとには東電の小早川社長から電話があったということです。
【柏崎市 桜井雅浩 市長】「基本的に歓迎すべきことであるというふうに申し上げ、3年ほどの年月、私から考えれば無駄な年月を過ごしてしまったことへの重みを東京電力としてももう一度ご確認願いたい」

また、刈羽村の品田宏夫 村長は「一つの区切りに至ったことは喜ばしい。規制委員会、東京電力には経験を生かして『いい規制』『いい電力事業』を展開して欲しい」とコメントを発表しています。

こうした中、再稼働に反対する市民団体は…
「かろうじて“可”だと原子力規制委員会は言ったが、私たちの命がかかっている福島の事故を起こした東電に対して、“可”で運転されては私たちはたまったものではない」

「いい加減な状態のまま、これから(東電の改善を)監視を続けていかなければならないと言いながら解除するのは何事だと。そこで生活する住民の安全性についてなんと軽い判断をしていることかと」

今後、再稼働の前提となる地元の同意をどのように確認していくのか…
最大の焦点となりそうです。