過去データでは1月一括が圧勝。日経平均24年は3万6000円届くか

――今年は、日経平均株価がバブル崩壊後最高値を付けるなど、株価が大きく動いた1年となりました。ひと足早く24年の見通しを伺えたらと思います。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
今のところ日経平均は24年夏から秋ぐらいにかけて3万5000円、場合によっては3万6000円ぐらいまで行くかなと思っています。
――理由は?
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
何と言っても日本企業の業績好調が見込まれています。2024年度の純利益は23年度と比べて11%も増えそうだと。2桁いかなくても1桁台後半の増益が見込まれるようになれば、その分だけ日経平均の実力が上がるということになりますから、市場心理が今ぐらいのニュートラルな状態でも3万5000、6000円というのは正当化されるようになってくると思います。
――24年から始まる新NISAの始め時は?
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
24年の前半はちょっとリスクがあるなと思っています。まずFRB(米連邦準備制度理事会)も日銀も金融政策の転換点にあってかなり不透明だということ。あとはアメリカの景気が減速し始めているので、上手いことソフトランディングできればいいのですが、もう少しハードランディングに近い状態になってしまった場合に、アメリカ株下落、円高のダブルパンチで日経平均も1回3万円ぐらいまで下がるというリスクは頭の端に置いておいた方がいいと思います。
――前回のテーマ「オルカン」と「S&P500」はどちらがいいのか、への質問です。「投資初心者です。負の側面も含めいろいろ勉強した結果、10年から15年の中期はS&P500、 20年から30年の長期はオルカンでと考えています。いかがでしょうか?」
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
長期はオルカンの方がいいというのはよくわからないのですがが、少なくとも今の時点ではオルカンよりS&P500の方がリスクもリターンも少し高いのだろうなと思っています。ただ、大事なのは新NISAをオルカンやS&P500とかでスタートして、それをずっと目をつむって続けるのはよくないです。世界情勢は変化していきますので、それに応じてアメリカ株を多めにしようとかちょっと減らそうかなとか、もうちょっと日本株を買ってもいいかもなといったポートフォリオのメンテナンスをなくとも年に1回はしていただきたいと思います。

――本日のテーマは「毎月投資がいいのか、一括投資がいいのか」。過去のデータを交えながら見ていきます。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
新NISAが24年前にスタートしていたとして、毎月1万円ずつ買った場合と年間12万円を1月に一括で買った場合の、23年の11月末時点で資産額がどうなったかを検証してみました。「TOPIX」、「S&P500」、「オールカントリー」、3種類試したのですが、いずれも1月一括投資の方が結果的には大きく増えました。日本では積立投資が王道だと言われるのですが、実際は2000年以降だと一括投資の方が良かったということです。
――このデータだけを見ると一括投資の方がいいのかなと思うのですが。
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
今のはあくまで2000年1月にスタートした場合というほんの一例です。過去24年分全部計算をしてみました。

24回のうち1月一括投資の方が結果的に良かった年が何回あったか。TOPIXだと24回のうち19回で勝率79%、S&P500とかオールカントリーでも勝率9割前後ということです。少なくとも過去においては1月一括投資の圧勝だったと。