戦時中に労働を強制されたとして韓国人の元徴用工らが日本企業に賠償を求めた2件の裁判について、韓国の最高裁は企業側の上告を棄却。賠償を命じる判決が確定しました。ソウルから中継です。

戦時中の徴用をめぐる裁判について韓国の最高裁は5年ぶりに判断を示しましたが、前回と同様、日本企業の敗訴で終わりました。

今回の裁判も、韓国人の元徴用工らが労働を強制されたとして日本製鉄に損害賠償を求めたもので、1審と2審は原告が勝訴しました。

そして最高裁はきょう、日本製鉄の上告を棄却し、1人あたり日本円でおよそ1100万円の賠償を命じた判決が確定しました。

元徴用工の遺族
「遅くなってもこういう結果が出てすごく嬉しい」

さらにきょうは、朝鮮女子勤労挺身隊の元隊員ら4人が損害賠償を求めた裁判でも、三菱重工業の敗訴が確定しました。

韓国政府は今年3月、勝訴が確定している原告に対し、韓国政府傘下の財団が賠償金を代わりに支払う解決策を発表したものの、一部の原告は受け取りを拒否していて、今回判決が確定した原告が解決策を受け入れるのかが注目されます。

林 芳正 官房長官
「日韓請求権協定第2条、これに明らかに反するものであり、極めて遺憾であり、断じて受け入れられません。この点については韓国側に抗議を行ったところでございます」

判決を受けて林官房長官は、韓国側に抗議したことを明らかにする一方、韓国の財団が支払いを肩代わりする方針に沿って「韓国政府が対応していくと考えている」と述べました。