中国の巨大経済圏構想「一帯一路」について、G7=主要7か国で唯一参加するイタリアが離脱の意向を中国側に正式に伝えた、と複数の現地メディアが報じました。

イタリア有力紙のコリエレ・デラ・セラは6日、イタリア政府が中国側との数週間にわたる交渉の結果、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」から離脱する意向を正式に文書で伝えたと報じました。

イタリア政府は別の現地メディアの取材に「ノーコメント」としています。

イタリアは2019年、当時のコンテ政権が港湾事業などでの中国の巨額投資を見込み、G7=主要7か国として唯一、一帯一路への協力の覚書を結びました。

しかし、経済的な恩恵が乏しく期待した成果が得られていないと国内で不満が高まり、今年9月にはメローニ首相がインドで李強首相に離脱の方針を非公式に伝えたとされていました。

一方、専門家は、離脱の主な理由は「経済の問題ではない」と話します。

イタリア国際問題研究所 ニコラ・カサリーニ 上席研究員
「対中国政策において、アメリカやEUと歩調を合わせることです」

権威主義的な中国の影響力拡大を警戒し、G7内では離脱を求める圧力が高まっていました。

また、EU=ヨーロッパ連合は経済安全保障の観点から、中国への依存を減らしていく「デリスキング(脱リスク)」を打ち出していて、加盟国として軌道修正が迫られていたといいます。

イタリア国際問題研究所 ニコラ・カサリーニ 上席研究員
「これは政治的な判断であり、貿易の数字などは決定の裏付けとして使われているのです」

イタリアが中国に渡した文書には“二国間の戦略的友好関係を維持する約束”が記されているということですが、現地メディアは中国側が報復措置に出るかどうかは不透明だとしています。