全日本柔道連盟は3日、同日に行われたグランドスラム東京の結果を経て、来年のパリ五輪代表に男子60kg級の永山竜樹(27、SBC湘南美容クリニック)、女子63kg級五輪2大会連続出場の髙市未来(29、コマツ)、女子78kg級の髙山莉加(29、三井住友海上)の3名が新たに内定したと発表した。

永山と髙市は同大会でそれぞれ金メダル、髙山は3位決定戦を制して銅メダルを獲得し、直後の強化委員会を経て内定を獲得した。男子60kg級東京五輪金メダリストの髙藤直寿(30、パーク24)は、この日の決勝で永山に敗れ、3大会連続の五輪切符には届かなかった。

永山は決勝で代表争い一騎打ちとなっていた髙藤と直接対決。延長戦に及ぶ激闘の末、背負い投げの一本勝ちを収め、初の五輪代表の座を射止めた。試合後「東京五輪代表になれなくて悔しかった。悔しい期間があったから今がある」と語った永山。

全日本男子の鈴木桂治監督は「圧倒的にずば抜けた攻撃力が武器だが、大一番で結果を出す事に関してまだ不安もある。残りの時間でコンディション・メンタルを完璧にしていく」と永山を評価した。一方破れた髙藤だが、「ようやく終わった。すっきりした」と厳しい代表争いを終え安堵。「今すぐ柔道を辞めますとは言わないが、じっくり考えたい」と今後の進退にも注目だ。

髙市は同じく代表争いをしていた堀川恵(28、パーク24)と準々決勝で対戦。延長戦の末、先に相手に指導3を与え勝利した。決勝では山口葵良梨(22、国士舘大学4年)との日本人対決を制し金メダル。リオ五輪・東京五輪に続く3大会連続出場を決めた。過去の五輪2大会ではいずれもメダルには届かず。東京五輪後に引退も考えた中、再び掴んだ五輪への切符だ。「もっともっと苦しい道が待っているが、立ち向かう」と、3度目の大舞台で三度目の正直を期した。

東京五輪金・濵田尚里(33、自衛隊体育学校)、8月のアジア競技大会で銀メダルを獲得した髙山莉加、昨年のグランドスラム東京2位の梅木真美(28、ALSOK)の三つ巴となっていた女子78kg級。今大会、濵田が7位、梅木が5位と振るわなかった中、髙山が銅メダルを獲得。初の五輪代表に内定した。

これで柔道競技は全14階級中13階級でパリ五輪代表が内定。残すは東京五輪金のウルフ アロン(27、パーク24)らが競う男子100kg級となった。代表争いは今大会で銀メダルに輝いた新井道大(18、東海大学1年)とウルフの一騎打ちとなり、来年行われる国際大会の結果を加味し、いずれかに内定が与えられる予定となっている。