「残念ながら 最悪の部類に入る事故です」と告げられた
さらに驚く体験はこの後にも。
ぶつかった無免許の男性の車両は、自賠責保険には加入していたので私達の身体に関する治療費などの支払いについては問題はなかった。
車の修理代は100万円あまりかかるという見積もりが工場からは報告されていた。
私が加入している保険会社の事故担当者によると『残念ですが、最悪の部類に入る事故です』ということだった。なぜかと言うと…
ぶつけられたのは“無保険”の車だった
男性には月々定期的に収入が入ってくる仕事がない上に、任意保険には加入していなかったようで、いわゆる“無保険”の車にぶつかられたのだった。
男性は自腹で100万円あまりの修理代をすぐに支払うのは無理。『相手が生活をしていくのに最低限の収入を奪うような請求はできない』というのが、保険特約でサポートしてくれることになった弁護士からの話だった。
まさか「自分の保険を使って修理する」!?
『相手が保険に入っていないとなれば、あなたの保険を使っていったん修理するというのが残された道です』とも。
「では、保険から払ったとして、私が来年から払い込む任意保険の保険料はどうなるんですか?」
『上がります』
「えっ?100対0で相手が全面的に悪いという事故なのに、自分の保険で修理して、自分の保険の支払いは翌年から増えて、車はまだピカピカなのに”修復歴あり”という烙印が押され、売却時の価値は大きく目減り。何より家族と自分の命も脅かされた。言葉悪いですが、“やられ損”としか言いようがないのですが?」
『せめてもの賠償の気持ちは相手の男性にはあるようですが、どうしてもお金をすぐには作れない人には請求はできません』
「人のものを壊したら弁償するのが当たり前ではないのですか?周りの人からお金を借りてでも壊したものはもとにもどすのでは?子どもでもわかるでしょう?」
『相手が未成年の方なら、保護者が用立てるということはありますが、成人にはそれを求められません。会社の仕事中での事故であったりしたら、会社側に請求するというケースもありますが、今回の場合はそこにも当てはまらず、この車を廃車にしないのであれば、修理に関してはご自身の保険で直すのが現実的なんです。お気の毒ですが』
「だったら世の中には同乗者が命を落とすような事故にあっても、ぶつかつた相手の保険の加入状況次第では、十分な補償を得られないということもありそうですね?」
『はい。交通事故の中にはそういうケースはあります。めずらしいことではありません。いま、若い人たちの中には特に車の任意保険に加入していないケースを目にします。賠償金を請求できないという理不尽な状況も命が失われたケースにおいても…』
(なんたることか…。)
結局、無免許の男性は20万円を支払い、残りの80万円を超えるであろう修理代は私が加入する保険からの支払いに。
保険とは言え、やはり、ぶつけられて払うことに理解が追いつかなかった。
保険会社の事故担当者によると
『「修理代は分割で払います」と仮に相手方が言ってきても、そのうち支払いが滞り、最後には本人の行方が分からなくなるというケースもあります。
私たちにとっても事故の相手方が保険に入っていないとなれば、回収できないことも想定します。
損害が大きい事故は交渉が難航するのは間違いありません。事故車の修理を分割払いで受ける工場はないに等しいですし』
ということで、私の加入する保険会社と無免許男性の話し合いがどう決着する方向なのかは、現段階では聞いていない。
無免許の男性が支払うのは“玉突き”の先頭車両の修理代に関しても‥。
今回の事故は、関係するすべての人が「困ったもんだ」ということしかない。
警察も車の修理については口は出さない。”民事不介入の原則”がある。
