そして、達子さんもカウンセリングを受けていたことから、自分もカウンセリングを受けることを決めました。

勇さん
「いろんな事件で、心の変調があるにも関わらずカウンセリングを拒んだ人がいても、ちょっと時間をおいてから、もう一声をかけてくれたら、私のように救われる人間がいるかもしれません」

勇さんは、犯罪被害者は事件後、パニック状態で正しい判断ができない状態であることから、時間をおいて声かけすることの重要性を訴えました。

達子さんはいまでも、火事のニュースを見ることができません。勇さんも、事件のニュースがあると、京都アニメーションの放火事件がフラッシュバックすると言います。

こうした中、勇さんは、今回の事件の背景には、いまの社会が生み出している「孤立」があるのではないかと考え始めました。

人は心の余裕や幸せを感じることがないと、他人のことを考えられなくなる。
このことを1人1人が気づき、他人や自分自身にも心配りをしていけば、孤立が減っていくのではないか。勇さんは社会全体でこうした議論が広まることを期待しています。

「身内が死ぬのはつらい、まして親より子が先に逝くのはどれだけつらいか」と達子さん。勇さんは「将来こういう事件をなくすためには、考えること、実行することしかない」と語り、犯罪のない社会の実現を願いました。