■フィギュアスケート・グランプリ(GP)シリーズ第6戦 NHK杯(25日、東和薬品ラクタブドーム)

男子シングルのフリースケーティング(FS)が行われ、ショートプログラム(SP)首位の鍵山優真(20・オリエンタルバイオ/中京大)がフリー2位も合計288.39点で逃げ切り優勝。自身初のGPファイナル(12月、中国・北京)進出を決めた。

大会3連覇がかかる宇野昌磨(25、トヨタ自動車)は、SP2位で逆転を狙ったが、フリー1位の演技もわずか1.84点及ばず中国杯に続く2位。連覇は逃したが2季連続のファイナル切符を手にした。すでに進出を決めている三浦佳生(18、オリエンタルバイオ)を含め、日本勢男子は3人がファイナルへ。

ショートで今季世界最高得点(105.51点)を出した鍵山は最終滑走。冒頭の4回転サルコウを余裕を持って決めると、GOE(出来栄え点)で4点台がつき、続く4回転トウループからの連続ジャンプも決める。後半はトリプルアクセル(3回転半)で転倒するが、3回転ルッツからの連続ジャンプ、3回転フリップは着氷。終盤は全身をフルに使ったステップで躍動し観客を沸かせ、エネルギッシュなプログラムを滑り切った。

優勝を決めた鍵山は「優勝できてうれしい。アクセルは転倒したが、諦めずに最後まで滑り切れたので、ひとつの収穫かなと。(前の宇野の結果について)そこまで気にしてはなかったですが、周りに飲み込まれず自分にとにかく集中していた」とフリーを振り返った。

◆宇野フリー1位の好演技も1.84点及ばず

SP2位の宇野は11番滑走で演技。冒頭は前回の中国杯で失敗した4回転ループ、4回転フリップは着氷するも回転不足に。続くトリプルアクセルからの連続ジャンプは着氷でバランスを崩し単発になるが、続くアクセルでコンビネーションに持ち込んだ。

後半はショートで回転不足を取られた4回転-3回転の連続トウループを決めるが、4回転トウループは抜けて2回転に。だが続くジャンプで構成を変え、4回転ー2回転の連続トウループを跳んだ。結果、4回転を4本組み込んだがどれも4分の1回転不足の「q」判定で点差を詰められず、惜しくも逆転優勝には届かなかった。

試合後「今日の演技も良かった。優真くんの演技も素晴らしかった」とフリーを振り返った宇野は、「あんまり点数とか採点とかについて言いたくないですし」とジャンプの回転不足判定の件について触れたが、「ファイナル(進出)も決まったので、ショートとフリーも良かったですし、ジャンプを改善するというのではなく、プログラムの完成度(を高める)として次の試合に向けて頑張れるのかな」と話した。

シニア2季目、NHK杯初出場の壷井達也(20、シスメックス)は、4回転ジャンプを2本決めるなどSP12位から立て直し、総合9位に順位を上げた。女子シングルではGP初出場の青木祐奈(21、日大)が合計で自己ベストの184.46点をマークし、日本勢トップの5位。復帰戦の三原舞依(24、シスメックス)は8位、樋口新葉(22、ノエビア)が9位で今大会を終え、日本勢が同大会で表彰台を逃すのは17年大会以来となった。

【男子シングル結果】
1位)鍵山優真 288.39点(SP105.51、FS182.88)
2位)宇野昌磨 286.55点(SP100.20、FS186.35)
3位)ルーカス・ブリッチギー(スイス)254.60点(SP86.42、FS168.18)
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9位)壷井達也 216.62点(SP64.63、FS151.99)