30年間続いてきた外国人の「技能実習制度」を廃止し、人材確保と育成を目的とした「育成就労制度」にする案を政府の有識者会議がとりまとめました。しかし、支援の現場からは状況が改善するかは不透明という声も上がっています。
埼玉県の建設現場。慣れた手つきで作業しているのはベトナムから来た技能実習生です。
30年続き、見慣れた光景となった外国人の「技能実習制度」。政府の有識者会議はきょう、これを廃止し、新たに「育成就労制度」を設置する案を取りまとめました。
なぜ、いま廃止なのか?一番の課題は「労働力」として扱われる実態があるのに、「実習」という名目によって労働者としての権利が制限されることにあります。
元ベトナム人技能実習生 オアインさん(仮名)
「4~6か月休みがありません。毎日しかられます。その理由は主に内職をやらないからです」
関東地方の縫製工場で先月まで、技能実習をしていたベトナム人のオアインさん(仮名)。勤務を終えて、帰宅した後も社長から、違法な内職を強いられたと言います。
元ベトナム人技能実習生 オアインさん(仮名)
「これ1個作ると100円もらえます。すごく時間がかかります。1時間に3個しか作れないです」
「転職して状況を変えたい」。オアインさんは実習生のサポートをする日本の「監理団体」に相談しましたが…
元ベトナム人技能実習生 オアインさん(仮名)
「『あなたと会社で解決してください』と団体に言われました」
「実習」を名目とした今の制度では、「転職」は原則認められていません。職場で不当な扱いがあれば認められるはずなのですが、オアインさんの場合、監理団体などが動いてくれなかったといいます。
元ベトナム人技能実習生 オアインさん(仮名)
「誰も解決してくれないので、我慢するしかなかった。耐えられなくて逃げ出した同僚がいます」
長年、人権侵害の“温床”とされた原則、転職ができない制度。
きょうの最終報告書案では、同じ企業で1年以上継続して働くなどの条件を満たせば、同じ分野内での転職を可能とするなど、大幅な緩和が示されました。
しかし、長年、技能実習生を支援してきたNPOは「制度上、転職を認めても、日本の受け入れ団体が変わらなければ実効性はない」と懸念します。
日越ともいき支援会 吉水慈豊 代表理事
「やはり、ちゃんとした支援がなければ、転籍っていうのはできないので、そこが本当に可能なのか」
また、受け入れ企業側からは転職を認めることで労働力の“流出”を懸念する声も…
株式会社「友創」 内田友和 社長
「地方の企業とかは結構デメリットがあるんじゃないかなとは思ってます。賃金の多い都心部の企業に実習生たちが流れて行ってしまうのではないか」
有識者会議はこの案をもとに政府に提言を行う方針です。
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