障がい者に対する壁を壊す 人との触れ合いでバリアフリーに
――みんなに知ってほしい三つのこと。二つ目は「“歩けない”以外の困りごと」。

中嶋涼子氏:
トイレのことも。私はおへそから下の感覚がないので、カテーテルっていう管を入れて出したりするので、時間がかかっちゃって。私は映画の編集の仕事をしいてたんですけど、没頭しすぎてトイレに行き忘れていたら漏らしてしまったことがあって、トイレで着替えていたんです。そうしたら「遅いよ」とか「休みすぎ」と言われて。でも、「漏らして着替えてました」とは言えず、「すいませんでした」って言って、なんかすごく悔しかったんですね。だから、排泄障がいみたいなものがあることを一般の人も知っていたら、ちょっと察してくれるんじゃないかなと。
――自分の日常を公開することにためらいはありませんでしたか。
中嶋涼子氏:
最初はすごく恥ずかしくて、小学校からずっと隠してたんですよ。友達にも誰にも言えず、すごく孤独で。でも、SNSを通して同じ障がい者の友達ができたときに、その話ができたんです。それがすごくうれしくて、こうやって話せる人がみんなもできたら、もっと楽になるんじゃないかなと思って。
自分からもっと言ってみたいなって思うようになって、初めてYouTubeで「おしっこもらします」みたいに言ったことがあって、すごく恥ずかしくて絶対怒られるだろうな、炎上するんだろうなと思ったら、意外と「私もです」とか、共感してもらえるメッセージが増えて、言ってよかったなと。
多分恥ずかしくて言えない人がいっぱい世の中にいると思うんですけど、自分はもっと言っていって、あえてみんなが言わなくてもいいような環境になったらいいなと思って。そこからもう吹っ切れたように、いろいろ言えるようになったんです。でも、20何年ずっと隠して、嘘ついてばっかりで生きづらかったので、言うようになったら、すごく生きやすくなりました。
――みんなに知ってほしい三つのこと。三つ目は「“障がい者”をひとくくりにしないで」。

中嶋涼子氏:
例えば障がいが一緒でも、それぞれ状態がちょっと違ったりするんです。私は排泄障がいがあるって言ったんですけど、それがない人もいるし、車いすに乗っていても足が動く人もいるし、疲れやすいから乗っている人もいたり、いろんな人がいるので、それぞれ1人の人として見てほしくて。障がい者でも性格が悪い人もいるし、遊び人も真面目な人もいろんな人がいて、結局は性格が合うかとか価値観が合うかとかで仲良くなっているんです。なので、ひとくくりにしないでほしいなと思います。
――どんな工夫をしていけば、もっと心のバリアフリーになると思いますか。
中嶋涼子氏:
私が歩けなくなった9歳のときから比べたら、エレベーターも多目的トイレもあると思うし、声をかけてもらうことが多くなったんです。「手伝いましょうか」とか。それって、みんながちょっとずつ慣れてきてくれているのかな、このままだったらちょっとずつ増えてくれる気がして。だからこそ自分が伝えているような、例えば排泄障がいがあるといった車いすの人の、歩けないだけじゃない、いろんなことがあるっていうのも知って、だからこそ多目的トイレでしかトイレができないんだと思ってもらえたら、多目的トイレで着替えちゃったり、違う目的で使う方も減っていくんじゃないかなと。そこをちょっとだけ心の余裕を持って考えてもらえたらいいなって思います。
――知識を共有し合うことで想像力も働くでしょうし、そういう知識を持っている余裕が優しさにつながるかもしれません。
中嶋涼子氏:
みんな遅かれ早かれ車いすになったり、排泄障がいになってしまったりすると思うんです。それが私はたまたま早かっただけだって。みんななることだから知っておいて損はないと思うし、ちょっとだけ人のことを考える余裕が、通勤ラッシュの人にもあったらいいなって思います。
――これからどんな活動をしたいですか。

中嶋涼子氏:
私は子供たちの前で講演するのがすごく好きで、子供たちって壁がないから、「何で乗ってるの」って聞いてくれたり、「押したい」とか「乗りたい」って言ってくれたり、足をたたいたり、いろんなことを素直に聞いてくれるからうれしくて。30分ぐらい講演すると、「車いすってこうなんだね」とか「街で車いすを見たらを声を掛けようと思いました」みたいに言ってくれたり、すごく楽しくて、全国の小中高を全部回って、子どもたちと触れ合いたいなっていうのがあります。触れ合って車いすとか障がい者に対する壁を壊していく人になりたいなと思って。街中をバリアフリーにして自分で何でもできちゃったら、それこそ人と人との触れ合いってなくなっちゃう気がして、それよりはそのままでもいいから、気軽に「手伝ってください」って言ったり、「手伝いましょうか」って言ってくれるような環境になったら最高だなと。
――中嶋さんだけに壁を壊す役を任せていてはいけないですね。
中嶋涼子氏:
みんなでぜひ一緒に壊していけたら。
(BS-TBS「Style2030賢者が映す未来」2023年11月26日放送より)














