現在、東京都港区芝にある東京都人権プラザで開催されている特別展示『セサミストリートの仲間たちと学ぼう!子どもの権利』を取材してきました。
セサミストリートは多様性の象徴

1969年にアメリカで放送が始まったセサミストリート。例えば2015年に登場したオレンジ色の髪をした女の子の「ジュリア」は自閉症の特性があるなど、多様な個性や背景を持つ子どものキャラクターが登場し、セサミストリートは多様性のシンボルとして親しまれています。この「多様性」と、国連が1989年に採択した、世界中すべての子どもたちがもつ権利を定めた「子どもの権利条約」を軸に、東京都人権プラザでこの秋からセサミストリートのキャラクターを展示のガイド役として起用した特別展示を始めました。
日本では気づきにくいものも。40個ある「子どもの権利」
10月23日に行われた特別展示見学会。展示されているパネルについて、東京都人権啓発センターの専門員、田村鮎美さんが近隣の公立小学校の5年生に、こう説明しました。

東京都人権啓発センターの専門員 田村鮎美さん
「子どもの権利ってどういうことなのっていうことがパネルに書いてあります。全部で40個もあります。どうですか?休んだり遊んだりするのも立派な権利です。もし休む時間が無い、遊ぶ時間が無かったらこの権利を主張してください。あとは皆日本に長く住んでいるとわからないと思う『よその国に連れ去られない権利』とか、『別の国にいる親と会える権利』とか、一緒の国に暮らせない子ども達もいたりするんだよね。そういうのもあったりします」

日本に居ると想像がつきにくい「戦争からの保護」などの項目もあって、子ども自らが権利を持つ主体であるという条文の紹介を、子ども達も親しみやすいセサミストリートのキャラクターと共に楽しく展示してあるんです。
子どもを守るために大人にも知ってほしい
こうした親しみのある分かりやすい今回の展示の狙いについて、「実は子どもに知って欲しいだけではない」と専門員の田村さんは話します。
東京都人権啓発センターの専門員 田村鮎美さん
「子ども自身にまず来て欲しいっていうのはすごくあります。子ども自身、自分自身にこんなに権利があって、一人ひとりその権利が守られる必要があるっていうことを子ども自身が知って欲しいというのが第一なんですけれども。 あわせて、子どものまわりにいる大人にも是非来て欲しいなと思います。子どもの権利は子ども自身が守るというよりも、まわりの大人が守る必要がありますので、大人自身もですね、改めて子どもの権利というものに触れてもらえる場所にしてほしいなって思っています」
「子どもの権利条約」は、子どもが大人と同じように、ひとりの人間としてもつ様々な権利を認めるとともに、成長の過程にあって保護や配慮が必要な、子どもならではの権利も定めています。例えば、「適切な情報の入手」という条文について、大人は子どものためになる情報が多く提供されるようにすすめて、逆によくない情報から子どもを守らなければなりません。ですので、田村さんが言うように、子どもの権利は大人にこそ知って欲しいということでした。