「人に迷惑をかけて死にたくない」 1人暮らしの高齢者が決めたことは

遺体の保管料の実情について、愛知県内の別の業者に尋ねました。

(名古屋市から依頼を受ける愛知県内の葬儀業者)
「(行政からの葬儀代は)15万円と消費税くらい。利益としてはほとんどないに等しい。長期間になるほど(利益は)ない。(ドライアイス代が)1日1万円とすると、かける日数になるが、それを行政に請求することはできない。保管料に関しては“サービス”」

名古屋市では、身寄りのない遺体は2018年度には134人でしたが、2022年度は実に256人と5年で倍近くに増えていて、今後も増え続けると予想されます。

こうした中、ある取り組みが始まっています。1人暮らしの80代の男性を訪ねたのは、名古屋市の社会福祉協議会(社協)の職員。男性が社協から渡されている冊子は「エンディングノート」でした。自分が亡くなった際、自分の葬儀や財産の処分をどうするのかをあらかじめ書いておくものです。男性のノートには、“葬儀なし・火葬だけ”という項目に印がついていました。

(1人暮らし 80代男性)
「人に迷惑をかけて死にたくない。生きているうちに決めないといけないことは決めて、最後はそうして終わっていきたいと思っている」

男性の自宅の玄関には、死亡した際の様々な手続きは「社協が行う」と書かれた書類が、誰でも見えるところに置いてあります。一昨年から始まったこの取り組みを利用する高齢者は現在、99人に上ります。

(名古屋市社会福祉協議会 野川すみれ副所長)
「亡くなった後のことを気にかける人はたくさんいるが、今までのように親族に頼めない人が増えている。これからも増えていくと思う」

行き場を失った「さまよえる遺体」…その背景には、“超高齢化社会”と、人と人とのつながりが薄くなった今の日本が見えてきます。

CBCテレビ「チャント!」11月15日放送より